九州電力の醜態2011/07/10 11:28

九州電力の「やらせメール」事件は、皆さん、ご存じ通りです。国の住民向け説明番組の際に、九州電力の職員が子会社社員らに原発再開を支持するメールを投稿するように指示していたのです。この「住民向け説明番組」自体も、7人に限定された地元出演者の選出基準などが不透明で、どうも怪しいとは思っていたのですが、それを上塗りした形です。
「やらせメール」事件の発覚は7月2日、6日の衆院予算委員会では日本共産党の笠井亮議員が追及し、大きな問題となりました。

さて、「やらせメール」事件が世間を騒がせる中、佐賀県主催による県民説明会が開かれたのが7月8日。
毎日新聞の記事には、「参加県民からは厳しい意見が相次ぎ、政府不信が渦巻いた」とありますが、一方で、「会場は拍手と怒号が交錯した。「原発は必要だ」との声もあったが…」という記述も。
私はすっかり騙されてしまい、「この期に及んでも、地元には強固な原発推進派がいるんだ」などと変に納得していた次第です。まさか、「やらせメール」事件で社長退陣にまで追い込まれている九電が、県民説明会に対しても、変なアクションを起こしているなどとは、露思わずでした。しかし実際には、県民説明会には九電から動員がかかっていたのです。
朝日新聞<九電、佐賀県説明会にも動員 社内調査判明、8日開催分>
時系列を追っていくと、「しんぶん赤旗」が「やらせメール事件」を報じたのは2日。佐賀県が8日の説明会の参加者を自治体を通じて募集したのは、1日~5日でした。この間に、九電は本社やグループ会社の社員に説明会への参加を呼びかけていたのです。「やらせメール」の上に、説明会への組織動員が明らかになれば、さらに追い込まれることは分かっていたはずです。しかし、説明会への動員指令が取り消されることはありませんでした。本来ならば、みずから非を明らかにして、謝罪すべきところなのに…

コンプライアンス(法令遵守)が聞いて呆れます。会場で飛んだ「原発は必要だ」の声は、おそらく、九電の関係者でしょう。まんまと引っかかった自分自身が恥ずかしいです。

九電の醜態。総会屋まがいの手口を使って、世論を誘導しようとした罪は重大です。

しかし、なぜ、電力会社はそこまでするのか?原子力発電が追い込まれているからに他なりません。無理矢理、推進派の意見を捏造しなくては、もはや、やっていけないところまで来ているのが現状なのです。

これで、玄海原発の2号炉・3号炉の再稼働は、当面不可能になったでしょう。しかし、次に再稼働を狙っている原発もあります。油断することなく、一つ一つ、原発を止めていく。このことを肝に銘じましょう。

コメント

_ tossini ― 2011/07/11 02:56

そもそもCATVのこのプログラム自体、経産省と九電が仕組んだお手盛り番組だったのに、さらに子会社や支社等に、ダメ出し的なやらせ投稿を強いるとは…。
九電はこのCATV会社の主要出資企業のひとつであり、「メディアなんぞは情報操作、世論操作の道具」と位置づけていたのだろう。この構造は、九電のみならず全国の電力会社も同様だ。

一方、地上波TVなどのマスコミも、大広告主の電力会社には詰めが甘い…。公共広告機構の理事には、各電力会社の役員が名を連ねているし、3.11後のCM自主規制の中で「いいえ誰でも」や「ポポポポ~ン」で、広告収入の落ち込みを支えてもらった恩義がある。

それにしても、佐賀といえば「葉隠」ではないか?! この「やらせメール&ファックス」は、武士道にもとる行為だ。

九電社長が、会見でメモを見てから発した「分かりました。じゃあ、私は指示していませんが、最終責任は私にあります」。一体、何が「分かった」のか、また二回繰り返した「じゃあ」が何なのかも気になるが、それはさておき、「関与していないが、責任がある」というのなら、皺腹かき切って潔白の証明と責任の詫びを果たすのが「武士道」だろう。

_ 薫 ― 2011/07/11 19:00

〉3.11後のCM自主規制の中で「いいえ誰でも」や「ポポポポ~ン」で、広告収入の落ち込みを支えてもらった恩義がある。

なるほど。。
金にもの言わせて、骨抜きにされてたんですね。。

株主総会といい、世の中結果ありきで動いてる。古い体質ですね。

_ tossini ― 2011/07/12 02:26

薫様ーーおっしゃるとおりです。
佐賀知事の件も報道されましたが、原発関連地域の首長の多くが、電力会社の役員から個人献金を受け、株を持っている者も少なくないようですね。利害を共にするお仲間として、取り込まれているわけです。
まさに,人としての「株を下げる」話ですね。

_ 私設原子力情報室 ― 2011/07/12 22:38

それにしても、「玄海町長の弟の建設会社、九電から54億円受注」
http://www.asahi.com/national/update/0711/SEB201107110036.html
には、ぶっ飛びました。
これが原発利権の現実なんですね。
「札束で横っ面を張る」なんて言いますが、54億円じゃ、重すぎて不可能です。

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