反原発は反科学?2011/08/08 10:55

「科学技術」という言葉があります。英語では‘Science and Technology’。ところが、日本語の「科学技術」は「科学的技術」のニュアンスが強く、科学と技術が一緒くたになっています。
本当は科学と技術は別物で、別物だからこそ英語では‘and’でつないでいるのです。
一般的には、科学的な方法で見つけ出されたり、経験的に裏付けられた客観的な法則性を人間が使いやすいように応用するのが技術。
科学は、自然界の真理を探究する行為です。社会や人類の進歩に役に立とうが立つまいが関係ありません。例えば、小林・益川理論で「対称性の破れ」が証明されても、日常生活には何の影響もありません。しかし、科学者には真理を追究を続けて欲しいし、みんながそれを応援します。
一方、歴史的に見れば、原子や原子核の中で起きていることを解明する量子力学の研究の一部が、原爆開発へと技術的に利用されたことは事実です。これこそが「悪しき技術」。ヒロシマ・ナガサキの後、多くの科学者がその事に気づき、マンハッタン計画の中心人物であったオッペンハイマーやフェルミも反核兵器の立場に転じました。

話を戻すと、科学に善悪はありませんが、技術には善い技術と悪い技術があるということです。

「反原発は反科学・反技術の考え方だ」と批判する人がいますが、これは違っています。量子力学は、純粋に科学です。それを悪しき技術で大量殺戮兵器に転用したのが原爆で、金儲けのために危険極まりない発電用熱源に利用したの原発。悪しき技術の背景には、札束と名誉、権力がうごめいます。私たちは、悪しき技術に反対するのみです。

前の記事で、「人類はウランを掘るべきではない」と書きましたが、これは、私たちが科学を棄てることを意味するわけではありません。毒キノコだと分かれば、それを採らないのも科学的立場なのです。






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