2万年前の日本列島 10万年後の日本列島2012/11/07 20:13


上の地図は2万年前の日本列島の姿。細い線は現在の海岸線です。日本列島が大きく動いていることが分かります。
2万年前と言えば縄文時代以前。しかし、この列島には、すでに人が暮らしていました。それを「遠い昔」と呼ぶのか「たった2万年前」と呼ぶのかは、主に文学的な問題でした。核廃棄物が抱える巨大な闇が明らかにされるまでは…

この地図をじっくりと眺めて、今までの当ブログの主張を一部修正する必要があると気がつきました。新たな結論は、「日本には放射性廃棄物の最終処分場を作る場所はない」ということです。
再処理をしようがしまいが、原発が動いている限り、高濃度の放射性廃棄物が生まれ続けます。これまで「原発賛成派であろうが、反対派であろうが、最終処分場の問題を避けて通ることはできない」と主張してきましたが、実は最終処分場の設置・建設自体が不可能なのです。少なくとも、日本列島では。

再処理工場から出てくる高線量放射性廃棄物は、ガラス固化体という形です。原発から出た使用済み核燃料から、プルトニウム239とウラン235を可能な限り取り除いて、ガラスで固めたものです。濃縮してますから、セシウム137やストロンチウム90といった核分裂生成物や、アメリシウムやネプツニウムといった超ウラン元素の濃度は、元の使用済み核燃料よりも、ずっと高くなっています。核分裂生成物も超ウラン元素も、危険極まりない放射性物質であることは言うまでもありません。このガラス固化体は、当然、強い熱と放射線を発します。出来てから数年は、近づいただけで死に至るという恐ろしい代物です。

一方、再処理をしない直接処分ではどうでしょうか?
この場合、高線量放射性廃棄物とは使用済み核燃料そのもの。これは、数年間水の中で冷やし続けないと、みずからが発する崩壊熱で溶け出してしまい、臨界に達する恐れがあるという、これまた恐ろしい代物。臨界になれば、大量の熱と放射線が発せられ、一大事となります。

ガラス固化体にしても、使用済み核燃料にしても、環境に悪影響を及ぼさないレベルにまで放射線量が下がるのに、十万年以上かかると言われています。
その時まで、今の人類が生きながらえるのだろうか?放射性廃棄物の危険性を語り継ぐことができるのだろうか?
世界に先駆けて最終処分場を建設し、その本格稼働を前にしているフィンランドから問題提起したのが、映画『100000万年後の安全でした。

話を地図に戻しましょう。
2万年前と比べただけで日本列島は大きく動いています。ゆっくりとした小さな陸の動きは、やがて大きな歪みを生み、陸地を大きく動かします。大きく陸地が動く時、必ず大地震が発生します。
上の地図を見ただけで、たった2万年の間に日本列島が、どれほどの大地震に見舞われてきたのか、大地がどれほど動いたのか、想像がつきます。また、大地が動けば、そこにひび割れが入ります。粘土を強くねじった時と同じです。それが活断層。活断層は、新たな地震で陸地が動く起点になります。日本中いたるところに活断層があるというのも、この1枚の地図から十分に想像できることなのです。
2万年は、一人の人生にとっては、とても長い年月ですが、放射性廃棄物にとっても、陸地の移動にとっても、きわめて短い時間に過ぎません。2万年では放射線は十分には減らないし、2万年あれば陸地は大きく動いてしまうのです。日本列島に限って言えば、2万年の間、安定して動かない場所を特定することは不可能です。

さて、最終処分場は、別の言い方で地層処分とも言います。数十万年先まで動く可能性のない硬い地層の中に核廃棄物を埋めようとするからです。しかし、そんな場所は、この日本列島にはない。それが結論です。

原子力発電。私たちは、なんという浅はかな選択をしてしまったのでしょうか。
今出来ることは、まず、これ以上、1ベクレルたりとも放射性廃棄物を増やさないこと。そのためには、大飯原発の稼働を直ちに止め、大間原発の建設を中止すること。そして、すべての原子炉から核燃料を取り出し、廃炉決定すること。他に道はありません。

すでにある放射性廃棄物への対処は、日本学術会議が提唱している「何かかあったら取り出して他に移せる暫定保管」と「廃棄物の総量管理」しかないでしょう。苦渋の選択ですが、それが原子力発電の大きなツケなのです。

日本学術会議と言えば、良くも悪しくも日本のアカデミズムの頂点。その学術会議が、報告書の中で「地震や火山活動が活発な日本では、処分場の安定性が数万年以上、維持されるかどうかは科学的に予測不可能」と明言しています。
重く受け止める必要があると同時に、冒頭の地図を見て頂ければ、それは誰もがたどり着く結論でもあります。

参考:『高レベル放射性廃棄物の処分について』日本学術会議

身の回りの放射性廃棄物はどこへ?2011/08/15 20:26

稲わらに堆肥、下水処理場の汚泥、ゴミ焼却場の灰、校庭などの除染のためにすき取った表土… 福島第1から出た放射性物質によって汚染された危険な廃棄物が、次々と生まれています。
これまで、放射性廃棄物といえば、使用済み核燃料や原発で使用された資材などを指すものでした。しかし今、原発事故による新種の放射性廃棄物が、私たちの身の回りにあふれています。

国も東電も、これらの放射性廃棄物の行き場を確保していないので、施設ごとに集められ、山積みにされている例がほとんどです。
しかし、このままでは、例えば畑の隅に集められた稲わらや堆肥から土壌や地下水へと汚染が進む可能性があります。校庭の片隅に、ビニール袋に詰めた汚染土壌を放っておいてよいはずがありません。

一方、下水処理場の汚泥やゴミ焼却場の灰に放射性物質が集まってきているのは、不幸中の幸いとも言えます。どこかに集積しなかったら、日常の生活空間を彷徨い続けるのですから。現場の労働者に危険がないよう細心の注意を払いながら、汚泥や灰を適切な場所に移す必要があります。

放射能下水汚泥、行き場なし 業者引き取らず、保管限界
都内の家庭ゴミ焼却灰から放射性物質 8000ベクレル超、一時保管へ

福島県内では、多くの学校が、汚染されたプールの水を排水できずに困っています。下水に流せるところは流すべきだと思います。農業用水路や河川に流れてしまうところは、一旦ポンプ車で吸い上げて下水に流す、といった方法が考えられます。しかし、国は対応をすべて地元任せにして、何の手だても打っていません。
文科省学校健康教育課「基準作りは難しく、各学校と関係者の間で合意してもらうしかない」
経済産業省原子力安全・保安院「プールのみに特別な対応は考えていない」
国土交通省「下水道への排水は問題ないが、地元との調整は管轄外」
行政、いや、あえて「役人ども」と言いましょう。彼らの対応は腹立たしいばかりです。

本来なら、福島第1から漏出した放射性物質に関して、東電は、原子の一つ一つに至るまで回収する責任があります。そして、原子力行政を推し進めてきた国にも重大な責任があります。それを認めてきた国民にも… という言い方をする人がいますが、この間の「やらせメール」などの件などで、原発推進の世論そのものが捏造だったことが明白になりました。それ抜きにしても、「札束で横っ面を張る」ようなやり方で、日本の原発が作られてきたのは、皆さんご存じの通りです。

話を身の回りの放射性廃棄物の話に戻しましょう。
もっとも危険なのは、一旦集まってきた放射性物質が、管理の不行き届きから再拡散することです。また「満杯」を理由に安全基準を緩めることは絶対に許されません(今でさえ十分に緩い)。

個人的には、福島第1の近くに、生活空間から出る放射性廃棄物の集積場をつくるべきだと考えています。残念ながら、原発至近の一帯は、今後数十年、いや数百年にわたって、人が暮らせる環境には戻らない可能性が高いからです(土地は東電なり国なりが買い上げ)。
分かりやすく言えば、福島第1から出たものは、すべて福島第1に戻すということです。

もう一点…
身の回りにあふれる放射性物質に関して、地方自治体は、東電や国に対して、もっともっと強く出る必要があります。まず、地方自治体は放射性物質が出たことに関して、基本的に責任を負っていません。そして、地方自治体には、住民の健康と安全を守る責任と義務があるのですから。これは、極めて分かりやすい話なのです。

使用済み核燃料はどこへ?2011/08/06 22:15

日本の原発から一年間に出る使用済み核燃料は1000トン~1300トン。この中には、核分裂せずに残ったウラン235の他に、超ウラン元素(プルトニウム239・アメリシウム241など)と核分裂生成物(セシウム137・ストロンチウム90など)がたくさん含まれています。いずれも危険極まりない放射性物質である事は言うまでもありません。

この使用済み核燃料が、どこへどう運ばれているのかを追ってみました。

まず第一の行き先は、国内の再処理工場です。
日本で営業運転中の再処理工場は東海再処理施設しかありません。これは実験的なプラントなので、年間200トンほどの処理能力しかありません。貯蔵能力も限界のようで、ここ数年は、東海村への使用済み核燃料輸送は、ほとんど行われていません。

もう一つは、試運転中の六カ所村再処理工場(反対運動が続いています)。処理能力は年回最大800トンです。ここの使用済み燃料プールには3000トンの貯蔵ができますが、運転開始前なのに、すでに満杯。今年に入ってからは、一切の使用済み核燃料を受け入れていません。

なお、日本で使用済み核燃料を輸送する場合、トラックによる陸上輸送と船舶による海上輸送を併用します。警備は警察と警備会社で、自衛隊は動員しません。
文科省のサイトに、高速道路での核燃料物質(使用済み核燃料と思われる)の陸上輸送の写真が掲載されています。物々しい警戒態勢と言うよりは、普通の風景の中をとてつもなく危険な物質が移動している姿に底知れぬ恐怖感を感じます。

次は、使用済み核燃料の海外への輸送です。行き先は、フランスのラ・アーグとイギリスのセラフィールドでした。過去形にしたのは、どちらも契約量のすべてを数年前までに運び終えており、現在は、再処理を終えたウラン235、プルトニウム239とそれを原料にして作ったMOX燃料(プルサーマル用燃料)、ガラスで固められた高レベル放射性物質(ガラス固化体)の日本への返却が続けられています。
前の記事で書いた「セラフィールド(イギリス)のMOX燃料工場の閉鎖」は、日本から来た使用済み核燃料の再処理がほぼ終わり、MOX燃料の製造も完了するということを意味しているのでしょう。少なくともMOX燃料工場の客は、日本だけだったわけですから(再処理工場の方は、スイスなども顧客のようですが、そのスイスも「脱原発」宣言。再処理工場も先行きは見えなくなりそう)。

日欧間の核物質輸送では主に英国籍の使用済核燃料輸送船が使われています。英国の警備会社が雇った武装した警備員が乗り込んでおり、船には機関砲や武装高速艇を搭載しているそうです。ルートはパナマ運河経由なので、カリブ海諸国から「安全性に問題がある」と非難されています。

さて、使用済み核燃料の行き先をもう一度見直してみましょう。海外での再処理は契約終了。国内の再処理工場は満杯。じゃあ、どこへ?
各原発が山のように溜め込んでるのが現状です。その総量は9000トン近くになるようです。
日本中の原子炉が通常運転を続けると、年間1000トンから1300トンの使用済み核燃料が出てきます。六ヶ所村再処理工場の処理能力は年間800トン。誰が計算しても計算が合いません。
どんどん溜まる危険な使用済み核燃料。トイレのないマンションと揶揄される所以です。
加えて、再処理工場は、原子炉1機に比べての1万倍の放射性物質を出すなど、大きな問題を抱えています。

長くなりそうなので、再処理工場の詳細については、別な記事で書くことにしますが、とりあえず、使用済み核燃料の行き先を追っただけでも、問題山積なのはお分かりいただけたかと思います。

イギリス、泥舟から逃げ出す2011/08/04 17:29

昨晩(8月3日深夜)から各紙がイギリス・セラフィールドにあるMOX燃料工場の閉鎖を伝えています。
朝日新聞
毎日新聞
北海道新聞

MOX燃料(Mixed oxide fuel)というのは、ウラン・プルトニウム混合酸化物のことで、いわゆるプルサーマル発電のための燃料。言い換えれば、プルサーマルでは、たいへん毒性が強く核兵器にも転用しやすいプルトニウムを核燃料の一部として使用するということです。

今までに、日本でプルサーマル発電を導入している原子炉は、玄海3号炉(九州電力)、伊方3号炉(四国電力)、高浜3号炉(関西電力)と今回の事故で破壊され、大量の放射性物質をばらまいた福島第1の3号炉です。
この内、今現在、営業運転をしているのは高浜3号炉だけで、玄海3号炉と伊方3号炉は定期点検からの再稼働の見通しが立っていません。この二つの原子炉に関しては、具体的な安全性の問題だけでなく、やらせメールや説明会への電力会社からの動員が明らかになり、「誰がプルサーマルに賛成したのか?」「そもそもプルサーマルに賛成する世論はあったのか?」という問題にまでなっています。

近くプルサーマル発電を導入する予定になっているのは、浜岡4号炉(中部電力)、泊3号炉(北海道電力)などで、中電も北電も、今回の報道にかなり困惑しているようです。

世界的に見ると1960年代にヨーロッパ各国やアメリカでプルサーマル発電が積極的に進められた経緯がありますが、フランス以外は撤退の方向。今、プルサーマルに積極的な立場を取っているのは、日本とフランスだけです。

ところで、MOX燃料に使うプルトニウムは、どうやって手に入れるのでしょうか?
プルトニウムは使用済み核燃料の中に1%ほど含まれています(原子炉内でプルトニウムができる仕組はこちらへ)。これを再処理工場で取り出して、MOX燃料工場に送っているのです。二つの工場は近い方が便利なので、イギリス・セラフィールドにも、再処理工場とMOX燃料工場の両方があります。

現在、再処理工場または再処理施設を稼働させている国は、フランス、イギリス、ロシア、インド、パキスタン、中国、北朝鮮、アルゼンチン、イスラエル(?)、そして日本だけです。日本で稼働中なのは東海再処理施設ですが、実験的な設備なので、大した処理能力はありません。そこで今、青森県六ヶ所村に規模の大きな再処理工場を作ろうとしているのです。試験運転中ですが、一方で、根強い反対運動が続いているのはご存じの通りです。

さて、「再処理工場」と言われると、危ないものを処理してくれそうで、何となく聞こえがよいですが、元々は、核兵器を作るための施設です。
ウラン原爆(広島型原爆)を作るためには、天然ウランの中に0.7%しか含まれていないウラン235の濃度を90%以上にするという大変に難しい濃縮作業が必要です。
一方、プルトニウムは、使用済み核燃料の再処理で抽出できるので、プルトニウム原爆(長崎型原爆)はウラン原爆に比べると比較的簡単に製造できるのです。インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエル(?)の再処理工場は、核兵器と直接結びついています。フランス、イギリス、ロシアにしても、核兵器製造のために再処理の技術を高めてきたことに間違いありません。アメリカが、今現在、再処理工場を稼働させていないのは、プルトニウムがテロリストに渡るのを恐れているためと言われています。

もう一つ、今回の工場閉鎖の意味を考える上で忘れてはいけない視点があります。
他国の使用済み核燃料を受け入れているかどうか。実は、他国の分も請け負っているのは、フランスとイギリスだけです。フランスは、自国も核燃料サイクルやプルサーマルに積極的ですから、「ついでに稼ごう」という発想は分かります。ところがイギリスは、自国では核燃料サイクルにもプルサーマルにも取り組んでいません。イギリスの再処理工場とMOX燃料工場は、純粋に外貨稼ぎをするための施設なのです(かなり危険な稼ぎ方ですが)。そして、イギリスのMOX燃料工場の顧客は日本の電力会社だけです。

今回の工場閉鎖は、福島第1の事故を受けて、今後、MOX燃料の需要が激減、もしくはゼロになると判断した末のことでしょう。これは、ビジネスの問題です。
MOX燃料工場を管理する英国原子力廃止措置機関(NDA)は、「日本の地震と関連する事態がもたらす商業的リスクを分析した結果、将来的に英国の納税者に多大な負担をかけないためには、早期の工場閉鎖が唯一最善の選択肢」と明言しています。要するに赤字は出せないと。
この先、再処理工場も止める可能性が高いです。
プルサーマル以上にプルトニウムを効率的に使えるとされる高速増殖炉は、世界中どこの国でも、なんの見通しも立っていません(アメリカとEUはすでに計画を断念)。日本の「もんじゅ」は、事故に次ぐ事故を繰り返し、「廃炉に」という声が高まっています。
一方、プルサーマルも先が見えない。
プルトニウムもMOX燃料も、需要の見込みがないとなった今、イギリスにとって再処理工場とMOX燃料工場は無用の長物になりました。
イギリスは、核燃料サイクルという泥舟から、早々に退却することを決めたのです。

毒物と放射性物質2011/04/27 14:47

直前の記事で、「放射性物質は、いわゆる毒物と違うので、中和させて無毒化するといったことができません」と記しましたが、なぜそうなのか、少しだけ話を深めておきます。

例えば、気体の塩素は強い毒性を持ちます。大量に吸い込むと死に至ります。また、塩素がナトリウムと酸素と結合すると次亜塩素酸ナトリウムに。強い殺菌力があるので、プールの消毒や家庭用の漂白剤に使われます。殺菌力があるということは、ちょっと量を間違えれば、人間にとっては毒物になります。一方で、塩素がナトリウムとだけ結合すると塩化ナトリウムです。いわゆる塩(しお)のことで、ほとんどの生物にとって不可欠なミネラル源になります。

放射性物質はどうでしょうか?液体であっても、固体であっても、気体であっても、その原子から発する放射線は変わりません。それどころか、どんな原子と、どんな形で結合しても放射線を出す力(放射能)は変化しないのです。

なぜなのでしょうか?
いわゆる毒物の毒は分子レベルの化学反応によるものなので、化合(結合)の形や相手を変えることによって、無毒化することができます。悪名高いダイオキシンにだって、一応、無毒化する方法はあります(だからといって安心というわけではありませんが)。

放射線はどうでしょうか。例えばガンマ線は、原子の中で原子核の周りを回る電子が軌道を変えるという量子力学的な現象によって生じるものです。アルファ線はヘリウムの原子核、ベータ線は電子線ですが、いずれも量子力学的な効果によって生じていることに違いはありません。放射線の発生は、原子の中という、私たちが覗くことのできない世界で起きているのです。

じゃあ、放射性物質を人為的に他の物質に変えることは出来ないのか… それは、超大型の加速器など特殊な装置の中でしかできません。それもごく僅かな量だけです。さらに、加速器を使っても、放射性原子は他の放射性原子に変わるだけで、安定した原子にはなりにくいものです。

人類は放射性物質から放射性を取り除くことはできません。それは、どんなに科学技術が発展しても不可能です。
だから、自然に減っていくのを待つしか方法はありません。ヨウ素131が半分に減る半減期は8日間。セシウム137やストロンチウム90は30年。プルトニウム239は2万4千年です。

もうこれ以上、余計な放射性物質を作り出してはいけないのです。

In the year 2525:私たちは責任を負えるのか…2011/04/09 21:22

「100,000年後の安全」に関連して、tossiniさんからご紹介のあったIn the year 2525 by Zager & Evans」が、YouTubeに上がっていました。

100,000年後の安全2011/04/08 14:54

「100,000年後の安全」というドキュメンタリー映画を観てきました。
原発から排出される高レベル放射性廃棄物(簡単に言えば使用済み燃料棒)の最終処理場を巡る話です。舞台はフィンランド。オルキルオトという場所に建設中の放射性廃棄物の最終処分場“オンカロ(隠された場所)”にカメラが初めて入り、処分場の当事者たちにインタビューを試みます。

現在ある高レベル放射性廃棄物が人に害を及ぼさなくなるまでには10万年かかるという前提で作られたオンカロ。しかし、映画(マイケル・マドセン監督)は、「10万年もの間、人類はオンカロが危険な場所であるということを伝えきれるのか」と問いかけます。例えば、今から10万年前といえば、ネアンデルタール人の時代で、私たちの直接の祖先である新人がアフリカの一部で暮らし始めた頃。この先10万年、人類は放射性廃棄物の危険性を語り継ぐことができるのでしょうか。
ツタンカーメンが棺に納められたのは、今からたった3,000年程前のこと。開けてはいけないと厳封されていたその棺桶は1922年に開封されました。オンカロは3,000年どころではありません。10万年の間、安全に保管するというのはとてつもない話なのです。
10万年は、私たち人類にとっては、とても長い時間です。しかし、放射性物質にとっては、それほど長い時間ではありません。例えば、プルトニウム239の半減期は2万4千年。アメリシウム 241は432年、ウラン235は7億年です。比較的半減期が短いとされるプルトニウム239でさえ、1/16にしか減らないのです。
放射性廃棄物を人類は扱いきれるのだろうか… 「100,000年後の安全」は、静かに本質的な問題を突きつけてきます。






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