放射性物質はいかに飛散し人体に入り込むのか(2)2014/08/10 16:40

2回目は"ホット・パーティクル"と"がれきと粉じん"という視点から見ていきます。

●ホット・パーティクル:参考記事
この記事を書き始めようとしていた、まさにその時、"ホット・パーティクル"がらみのニュースが入ってきました。以下にリンクで紹介しますが、記事が消されてしまう可能性もあるので、テキストでも貼り付けておきます。

■時事通信『微粒子からウラン検出=原発事故直後、茨城で採取-理科大など』
<東京理科大などは8日、東京電力福島第1原発事故直後の2011年3月14日に、約150キロ離れた茨城県つくば市で採取された放射性セシウムを含む微粒子から、ウランを検出したと発表した。微粒子には高温で溶けた後、急速に冷やされた形跡があり、研究チームは事故直後の原子炉内の様子を知る手掛かりになるとしている。>

■NHK『原子炉破損で燃料のウラン飛散か』
<東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた直後に茨城県内で採取された大気中のチリから、ウランのほか原子炉内の構造物の素材が検出され、分析に当たった研究グループは早い段階から大規模な原子炉の破損が進んでいたことを裏付ける結果だとして、さらに分析を進めることにしています。
東京理科大学の中井泉教授らの研究グループは、福島第一原発の事故直後の3月14日の夜から翌朝にかけて原発から130キロ離れた茨城県つくば市で採取した大気中のチリを兵庫県にある大型の放射光施設「スプリング8」で分析しました。
その結果、放射性セシウムのほか、ウランや燃料棒の素材のジルコニウム、圧力容器の素材の鉄など、核燃料や原子炉内の構造物と一致する物質が検出されたということです。
これらのチリは直径2マイクロメートルほどのボール状をしていて、高温で溶けたあと外部に放出されるなどして急に冷えた場合の特徴を示しているということです。
福島第一原発では、事故発生からチリが採取された14日の夜までの間に核燃料のメルトダウンが進み、1号機と3号機が相次いで水素爆発していて、研究グループでは早い段階から大規模な原子炉の破損が進んでいたことを裏付ける結果だとして、今後もさらにチリの分析を進めることにしています。>


●ホット・パーティクル:生成のメカニズム
上記の報道は、福島第1の事故直後、3月14日につくば市で採取された直径2マイクロメートルという、きわめて小さなボール状微粒子に関するものです。
別な報道では「ガラス状の微粒子」ともされています。
ボールの中には、放射性セシウム、ウラン、ジルコニウム、鉄などが含まれていました。しかし、これはいわゆる合金でありません。主に酸化物が焼結したセラミックスと見られています。事故発生直後から危険視されていたホット・パーティクルです。

核燃料から放出される放射性セシウムは、水酸化セシウムやヨウ化セシウムという化合物の形になっています。他に、酸化セシウムというのもあります。
核燃料はウラン燃料とも呼ばれますが、実際には二酸化ウランです。メルトダウンして溶け出し、さらに高熱になって気化したとしても、二酸化ウランから変わることはありません。
ウラン燃料を原子炉で使い始めると、燃料棒内にはプルトニウム239が生成されます。また、3号機はMOX燃料を使っていましたから、もともとプルトニウム239が含まれています。これらは二酸化プルトニウムです。

前の記事でも書いたとおり、核燃料の本体は二酸化ウランのセラミックスです(MOX燃料の場合は、二酸化ウラン + 二酸化プルトニウムのセラミクス)。これがメルトダウンすると、原子炉内にある他の物質(ジルコニウムや鉄)も、飲み込まれるように溶け込んでいきます。

以下に、燃料棒や原子炉にある主な物質や元素の沸点と融点を整理しておきます。

こうして見ると、メルトダウンを起こす温度(二酸化ウランの融点)=2865℃というのが、いかに高い温度なのかよく分かります。セシウムの化合物はもちろん、鉄ですら気化する温度なのです。
原子炉内の空間は、気化した放射性物質と、溶けた核燃料から微粒子として舞い上がった放射性物質が充満した状態。それが冷やされたときに一緒になって、セラミクスの微粒子に。上昇気流に乗って大気中へ大量に漏れ出していきました。
見方を変えると、「二酸化ウランのセラミクスが高温で溶けて、他の物質も巻き込んで、再度、セラミクスに焼結し環境中に漏出した」とも言えます。

ここで、セラミクスと焼結について、簡単に解説しておきましょう。
私たちにとって、もっとも身近なセラミクスは磁器。その原料は、二酸化ケイ素(石英)、酸化アルミニウムなどです。これらを主成分とする陶石を粉末にし、水で練り、ロクロなどで成型します。その後、"焼結"。文字どおり焼き固めるのですが、窯の中の温度は1300℃前後。酸化物などの粉末の集合体を融点よりも少し低い温度で加熱すると、粉末が固まって焼結体(セラミクス)になるのです。

現在は、ほとんどの磁器の窯元が電気窯やガス釜を使っているので、温度が上がりすぎてしまうことはありませんが、かつては薪を使った登り窯でした。
窯の中の温度が陶土の融点を超えてしまうと、せっかく成型した器が溶けて変形してしまいます。言ってみれば、磁器のメルトダウン。昔は、窯の隅などで、しばしば"メルトダウン"が起きていました。しかし、いったん溶けても、冷えたときにはセラミクスになります(売り物にはなりませんが)。

この<セラミクス→メルトダウン→セラミクス>という事態が、原子炉内で起きたのです。そこにあったのはウランやプルトニウム、放射性セシウムや放射性ストロンチウムでした。そして、すべてが大きな塊にまとまったのではなく、一部は、微粒子=ホット・パーティクルとして舞い上がり、はるかかなたにまで、放射性物質を届ける役割を果たしました。
気象庁気象研究所が撮影に成功したホット・パーティクル

■Natureに掲載された気象庁気象研究所の論文

水に溶けない放射性物質の微粒子=ホット・パーティクルについて言及しています。

●ホット・パーティクル:その危険性
上記の生成過程を見ると、ぞれぞれのホット・パーティクルが、異なる組成になることは明白です。あるものはセシウム137を多く含み、あるものはストロンチウム90が多い。また、あるものはプルトニウム239やウラン235を、というように。複数の放射性物質を含んでいて、その比率はまちまちです。
もちろん、ベータ線やアルファ線を出す核種がたくさん含まれます。
アルファ線は強力な放射線ですが、遠くまでは届きません。逆に言うと、体内のある場所に固定されてしまうと、延々と同じ細胞(群)にダメージを与え続けます。

ホット・パーティクルは、セラミクスなので水に溶けません。ですから、今のところ、消化管から体内に吸収されるメカニズムはないとされています(絶対にないとは言いきれませんが)。
怖いのは、呼吸による摂取です。0.01マイクロメートルから10マイクロメートルという微粒子。簡単に肺の奥、肺胞までたどり着いてしまいます。
前の記事で書いた放射性ブルーム由来のヨウ素131やセシウム137と異なるのは、セラミクスなので、血液に溶けて体内を循環するのではないということです。肺胞にへばり付いて、放射線を発し続けます。そして、死ぬまで外に出てくることはありません。
特に、プルトニウム239を含むホット・パーティクルが肺に入った場合が危険視されています。
ちなみに、同じ数のプルトニウム239原子(半減期:2万4千年)とウラン235原子(半減期:7億年)があったとすると、同じ期間では、プルトニウム239が2万9千倍のアルファ線を出します。
1個のホット・パーティクルが、何ベクレルに相当するかは、その大きさや組成によって異なるので、何とも言えませんが、微粒子とは言え、そこに数十億個、数百億個の放射性の原子があるのは事実です。

一方、ホット・パーティクルが、今ここにあっても、空間線量が跳ね上がるとか、そういうことはありません。空間全体に対する密度は小さなものだからです。しかし、私たちの肺は、掃除機の集塵パックのようなものです。少ししか存在しなくても、いつの間にかため込んでしまうのです。

旧ソ連の核実験場があったセミパラチンスクでは、住民に肺がんが多発しています。亡くなった方たちの肺を調べると、がん組織の近くの細胞ほど、プルトニウムを含むホット・パーティクルが見つかると言います。
これは、核実験で飛散したホット・パーティクルを吸い込んだことが肺がんにつながることを示唆しています。

●がれきと粉じん
福島第1の事故現場から放射性物質を含む粉じんが舞い上がり問題となっています。まず、飛散対策をせずにがれき処理を進めてきた東京電力に怒り心頭です。
一方、この粉じんには、放射性プルームで飛散したものとは違う危険性があることも認識しておく必要があります。

ストロンチム90への警戒です。
カルシウムと化学的性質が似ているので、体内に入ると骨組織に集まり白血病を引き起こすストロンチム90。運転中の原子炉ではセシウム137とほぼ同量が生成されますが、チェルノブイリでも福島第1でも、セシウム137に比べると、遠くまで飛散しにくいという結果が出ています。
逆に言うと、事故現場の近くでは、相対的にストロンチム90の存在確率が高くなります。
原子炉直近にあるがれきを手荒に扱って、飛ばなくてよいストロンチム90を遠くまで飛ばしている。これが現状であり、"がれきと粉じん"の問題を正しく見据えるために必要な視点です。

原子炉至近のがれきに、どのくらいのストロンチウム90が付着しているのか… 飛散した粉じんに含まれていたストロンチム90はどの程度なのか…
徹底した調査を行う必要があります。

コメント

_ 大山弘一 ― 2014/08/11 13:43

お世話様です。「認識の相違点」として
①小腸吸収は水に溶けることが条件 とされていますが、水溶性でない必要金属は吸収されるようですが、セラミックにおいては消化吸収は、無理ということでしょうか?

②、プルームに含まれたパーティクルも今回捕捉されたパーティクルも「複合終結体=ガラス」であり放射性金属の原子や分子のみの浮遊はないとの考えでいかがでしょうか?

以上2点、お伺いします。

_ 大山弘一 ― 2014/08/11 13:51

 つまるところ基本的に、メルトダウン事故原発から放出されたものは希ガスとホットパーティクルという複合燒結体であり、初期経口被ばくにおいては、小腸からの吸収はなく、吸引による肺に沈着及び、気管支からの移行が身体を廻ったのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

 
生体半減期としておよそ100日で内部被ばく量が下がるのも事実ですので身体循環後、排出されています。
まずは、取り入れ口は「気管支」でよろしいでしょうか?

_ 私設原子力情報室 ― 2014/08/11 21:35

>大山様

コメントありがとうございます。
さっそく内容に入ります。

当方が得ている知識では、小腸に代表される消化管で"金属"が吸収されるのは、それがイオン化している(水に溶けている)ときだけです。他に、油溶性の物質も吸収しますが、これは有機化合物だけだと思います。
http://www.jtnrs.com/sym28/O-05.pdf

例外的に、金属状態で体内に取り込まれたものが、消化液や腸内細菌の作用で酸化、さらにイオン化し吸収される可能性は否定しませんが、量的に大量になることはないでしょう。

もし、私たちの消化管が金属原子そのものを効率よく吸収できるとしたら、わざわざ食塩(塩化ナトリウム)からナトリウムイオンを得る必要はないし、カリウムのサプリメントの正体がクエン酸カリウムやグルコン酸カリウムである必要がなくなります。

放射性の金属原子や分子そのものの浮遊は、ないか、あるいは少ないのではないかと考えています。元々が主に酸化物として存在していますので。
ガラスとセラミクスの境界線はかなり難しいです。
ただ、ガラスの中での金属の発色を考えても、呉須は酸化コバルトですよね。黄色や緑色を見せるウランガラスのウランは酸化ウランですよね(ちょっと危険なガラスなのですが)

飛散した放射性物質(希ガスを除く)は、主に「放射性ブルームに乗った水溶性の化合物」「ホット・パーティクル(セラミクスなので難溶性)」「粉じんに乗った様々な化合物」という3種類に分類できるのではないかというのが、現在の当方の見解です。
ただ、2800℃以上という高温下、人類の誰も見たことのないメルトダウンという事態が発生しました。そこから生まれる化合物は、きわめて多様なはずです。すべてが、上記の3種類に帰着するとは思えません。
一方で、内部被ばくの危険性を少しでも軽減するためには、炉内で、何が生まれ、それがどんあ性質を持ち、どこにどれくらい飛んでいったのかを正確に知る必要があります。専門家たちの調査・研究に期待するしかありません(政府と東電は、少なくともそれを邪魔をするべきではないし、積極的に支援すべきです)。

生体半減期(生物学的半減期)に関しては、その放射性物質が水溶性のものとして身体に取り込まれた場合のことで、ホット・パーティクルのように肺胞にへばり付くものには当てはまりません。「一生出てこない」というのが正しいです。

以上、取り急ぎです。

_ 私設原子力情報室 ― 2014/08/11 21:55

追記です。
燃料棒に含まれる二酸化ウランや二酸化プルトニウムが、金属ウランや金属プルトニウムになるためには、溶融状態に大量の一酸化炭素(あるいはそれに類する化合物)を吹き込んでやる必要があります(還元するために)。

従って、暴走原子炉から、少なくとも金属ウランや金属プルトニウムが出てくる可能性はないと思います。

ただ、放射線を発するという意味では、ウランやプルトニウムが金属状態であろうと酸化物であろうと、まったく変わりません。それが放射性物質の恐ろしさであることは言うまでもありません。

_ 大山弘一 ― 2014/08/14 23:04

お世話になっております。
原子炉がメルトダウンするとヨウ化セシウムが重に発生するとの事ですが、
その後、ヨウ化セシウムがサプレッションチェンバーなどで水冷されず、ヨウ化メチルにもなることなく、他の揮発した金属蒸気と共にヨウ化セシウムが爆発やベントで急冷された場合、凝集し、焼結体≒ガラス・セラミック粒として一つのパーティクルの構成物になっているのでしょうか?

セシウムが最もヨウ化しやすく、セシウムとヨウ素は常に一緒(酸化やモリブデン酸もあるようですが)であり、更にパーティクルについては、α、β、γ線核種の3種混合体で、最悪の危険性という理解はいかがでしょうか?

  素人の質問ですみません。

_ 私設原子力情報室 ― 2014/08/15 20:42

> 大山様

コメントありがとうございます。
ヨウ化セシウムについては、いろいろと調べていますが、放射性ブルームに取り込まれていったことは間違いありません。ホット・パーティクル(セラミクス微粒子)の構成要素となったかどうかは、今のところ分かりません。

ホット・パーティクルにアルファ核種(主に超ウラン元素)とベータ核種が含まれることは自明です。大山さんの言う"α、β、γ線核種の3種混合体"は間違いありません。
"最悪の危険性"については、放射性ブルームもまた"最悪の危険性"です。いずれに対しても警戒を緩めてはならないし、それらを飛散させた者たちに、はっきりとした責任を取らせる必要があると思います。

_ 大分県南部人間 ― 2014/08/29 08:19

はじめてコメントさせていただきます。
ウランが、ホットパーティクルから検出されたということで、今回のニュースには大変関心を寄せております。
アスベストがらみで、アルファ線核種の存在には危機感を持っていましたが、今回のは、ウランが血液中直接解けだすことがなければ、ラジウムホットスポット説のように、肺にとどまったアスベスト小体にウランが引き寄せられるということはないのでしょうか?
こちら岡大の発表です。
http://pmlgw.misasa.okayama-u.ac.jp/?q=node/119
もっともウランを含むホットパーティクルが肺に長期間とどまれば、こちらはこちらで癌になりますが。

_ 私設原子力情報室 ― 2014/08/29 16:42

>大分県南部人間さん

コメントありがとうございます。

ご案内の岡山大の論文、たいへんに興味深いです。

アスベストや鉄を含む粉じんの吸引や喫煙は、"含鉄タンパク質小体"というものを肺の中に作り、ラジウムを強力に吸着する(ラジウムを肺の中に固定する)ということです。

そのラジウムと娘核種による局所的かつ強力なα線被ばくは、悪性中皮腫や肺がんの原因となっている可能性が高いというわけです。

ラジウム226の半減期は1601年なので、同じ原子数だけ存在すると、同じ時間の間にプルトニウム239(半減期:24,000年)の15倍のアルファ線を出します。
なお、ウラン235の半減期は7億年380万年、ウラン238は44億6800万年なので、このタイプのアルファ線内部被ばく(=肺内のホットスポット被ばく)では、ラジウムやプルトニウムほど危険性は高くありません。もちろん、大量に吸い込んでしまえば危ないし、他のリスクが隠されている可能性もありますが…

含鉄タンパク質小体が、ラジウム以外のアルファ核種を吸引することはないのか?さらなる研究が待たれるところです。

また、喫煙者がラジウム温泉に入ることは、とんでもなく危険なのだということが分かりますね。

_ 私設原子力情報室 ― 2014/08/29 16:49

追記:
ホット・パーティクルについては、"原発事故由来のウランを含むホット・パーティクルが見つかった"ということは、"原発事故由来のプルトニウムを含むホット・パーティクルも飛散している"ことを意味しています。
アーニー・ガンダーセンさんの調査などで、福島で、東京で、名古屋で、そしてシアトルでプルトニウムを含むホット・パーティクルが見つかっています。

_ 大分県南部人間 ― 2014/08/29 17:44

私設原子力情報室様 早速のご回答ありがとうございます。
ラジウムごときと侮ってはいけないのですねえ。

ウィキペディアの「肺癌」のところにも次のように出てきます。

アスベスト・喫煙による肺がん増加要因の推察[編集]

岡山大学教授の中村栄三は自身の専門である地球化学的手法を適用し、次のように報告している。アスベスト吸入や喫煙によって、肺内で含鉄タンパク質小体が形成される。この含鉄タンパク質が海水中のラジウム(Ra)の100万倍から1000万倍という濃度のラジウムホットスポットを形成する。226Raが崩壊すると222Rnとなるが、フェリチン中のフェリハイドライト構造中で発生したラドン(Rn)は呼気によって体外に逃げないため、222Rn (3.8日), 218Po (3分), 214Po (0.16ミリ秒)といった崩壊系列による連続的なアルファ線を体内で浴びる事になる。

私には理解不能ですが、これもご検討いただけるとありがたいです。

_ 大分県南部人間 ― 2014/08/29 18:02

おっと大事な部分を見落としてました。

"原発事故由来のプルトニウムを含むホット・パーティクルも飛散している"

圧力容器の中のものですから、当然プルトニウムも混ざりますねえ。うまいこと隠して発表でしたか。

_ 私設原子力情報室 ― 2014/08/29 20:13

中村栄三教授が言っているのは、ラジウム226からだけでなく、それが崩壊したあとに残る子核種=ラドン222と、さらに崩壊したあとに残る孫核種=ポロニウム218からもアルファ線を浴びるという意味です。

2つ目の質問に関しては、意図的に隠しているのか、今回のつくばのサンプルではプルトニウムはみつからなかったのか、現段階では判断できません。
しかし、"原発事故由来のプルトニウムを含むホット・パーティクルも飛散している"ことは事実です。

_ 大分県南部人間 ― 2014/08/30 07:45

私設原子力情報室様 ありがとうございました。
どこかで読んだことがあったのですが、プルトニウムの成分分析には、大学、研究機関であっても、許可がうるさいということで公表しなかったのでしょうか。

フェイスブックの方で、このような

再び福島第一原発3号炉の核爆発問題について(ホットパーティクル関連の記事とあわせて)

という記事をみつけました。リンクは長いので省きますが、中に

「驚くべきは、NHK(第2論文報道)、IAEA(第3論文)といった、いわゆるムラ側に属する機関が、その報道を始めたという事実です。
きちんとした査読付き論文の形で公表された、」

蟻の一穴になる可能性はあるのでしょうか?

_ 私設原子力情報室 ― 2014/08/30 11:42

ご案内いただいたFBに書かれている<原子炉の破損・広域飛散>は、ずっと指摘されていたことで、福島第1由来のプルトニウムはアメリカ西海岸を含む各地で見つかっています。

今回の気象研究所や東京理科大の発表が注目を集めているのは、複数の放射性元素が一塊となるホット・パーティクルをSpring8による放射光分析と電子顕微鏡による実像の撮影でとらえた点。さらにそのことが、"早い時期における原子炉(圧力容器)そのものの破壊"を裏付けたことにあります。
これは、"3号機の核爆発を裏付ける"とはなりません。
…というか、核爆発の定義によりますが、原発で用いられる核燃料では、小規模であっても核兵器のような核爆発は起きません。濃縮率が低いからです。
一方、核爆発が起きなくても、地震の揺れやメルトダウン、水素爆発などで、原子炉は簡単に破壊されてしまいます。それが福島第1で起きたことであり、起きていることです。

_ 大分県南部人間 ― 2014/08/30 12:08

私設原子力情報室様
ありがとうございます。私はガンダーセン氏の即発臨界支持者だったのですが、今回の圧力容器内の金属がホットパーティクルに含まれたと知り、軌道修正しております。
水蒸気爆発説もありますが、格納容器のふたの問題もあり、メルトスルーした燃料が、格納容器の底の水に触れて火山噴火のような爆発現象を起こしたとしたら、もっと大規模な事故になっていたでしょう。
急速に飛び出した水蒸気の中にホットパーティクルの元(うまく表現できませんが)あってこれが大気中に飛び出した時に、冷却されセラミック状態になった。
素人考えながらこういう見立てをしております。
考えてみればホットパーティクルはPM2.5よりも小さいわけですから、どこにでも飛んでいく。
Csボールなどと名付けずに、ホットパーティクルとして啓もうしていく必要がありますね。

_ 大分県南部人間 ― 2014/09/01 13:19

大山市議さんのブログに書いたら、書いてはいけないキーワードに触れたらしく受けつけられなかったので、恐縮ですがこちらに。

ご存じと思いますが、マクロファージの切り口で、PM2.5 アスベスト プルトニウムを見ると

http://www.ac.auone-net.jp/~kankyouj/kuma2-preyPM2.5.html

ところが、どっこい、人間の体の防御機構はあるんじゃな。どういう防御機構かというと、下の図にも示したが、肺胞の表面に付着したPM2.5はマクロファージという白血球によって、食べられ(捕食)分解・無害化され最終的にリンパ液から静脈系で回収される。

こちらのブログの記事のコメントですがアスベストは

http://blogs.yahoo.co.jp/hayatef24/16568301.html

鉄を多く含む物質が肺に取り込まれると、体内の掃除屋「マクロファージ」はこれを消化しようとするが、石綿には対処できない。石綿に含まれる鉄分を消化できない代わりに、周囲の血液や壊れた赤血球から鉄を取り込もうとする。マクロファージが世代を変えながらその仕事を繰り返すと、細長い石綿に多くの鉄を取り込んだたんぱく質が付着し、やがてラジウムが濃縮されていく。

で同じところのコメントにありましたリンク先

http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/hakusyo/hakusyo13/112.htm

一方、繊毛のない肺の深部の気管支や肺胞に達したプルトニウム粒子は、肺胞内にあるマクロファージがプルトニウム粒子をウイルスなどと同様な外敵と判断し、肺の細胞内に取り込みます(貪食作用)。その結果、プルトニウムは一部は異物として体外に排出されるが、残りは肺リンパ節や肺内に長期間とどまることになります。
 肺リンパ節内でも貪食作用は盛んに行われ、プルトニウムを貪食した細胞が死滅しても、そのプルトニウムは他の細胞に再び貪食されるため、一旦肺リンパ節に取り込まれたプルトニウムはそこに長期間滞留して、そこでα線を出し続けることになります。

ホットパーティクルも同じ理屈で肺に留まるから危険なのでしょう。

_ 大分県南部人間 ― 2014/10/02 10:11

大変ご無沙汰をしております。
じつはこういうものが検索にかかりまして、疑問がでてきました。(大山市議さんのブログにもコメントしました。)

チェルノブイリ事故炉周辺環境における長半減期放射性核種の分布と挙動
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhps1966/36/4/36_4_314/_pdf

1) 土壌中HPのサイズの変化 (HPの風化) が生じており, 10年経過後では, 大きなHPは見当たらず, 数ミクロン規模となっている。
2) 未撹乱土壌中の放射能の深さ分布と土質による違い。
3) 土壌中存在形態がSr-90, Cs-137, 超ウラン元素(Puや, Am) につきそれぞれ異なる。
4) 深さ方向の移行に関する知見として, 移行成分の存在形態。
5) 大気中濃度の将来予測, 大気中核種の粒径分布測定, 降下量の経年変化。
6) HPを含んだ土壌からの小松菜, 人参等への移行係数。
7) 土壌から河川への溶存形態での移行に関する高分子有機コロイドの重要な役割。
8) 河川水中Cs-137及び超ウラン元素の移行量は河川水中懸濁態の量に依存。しかしながらSr-90は90%以上が溶存態として存在。
9) チェルノブイリの河川や湖沼水系での放射性核種のみかけの分配比(溶存態濃度Bq/mlに対する懸濁態濃度Bq/gの比)。
10) 溶存態については超ウラン元素は腐植物質と結合し河川に溶存。

ホットパーティクルが10年ほどで風化するといのが、セラミック状ならありえないと考えました。
チェルノブイリとは爆発のメカニズムが違うからなのか、なにか考えられることがありましたらご教示お願いします。

こんな解説も政府側が出してきてます。

http://trustrad.sixcore.jp/ndsupport/?record_id=937&mode=index

ベータ線核種でのホットパーティクルでは、そもそも、この仮説の肯定や否定に役立つデータがないようです。ホット・パーティクルの方がリスクが小さいことは証明されていませんが、ホットパーティクルの方がリスクが大きいことも証明されていません

こんなあやふやな回答で国民が納得すると思ってるのでしょうかね。

_ 私設原子力情報室 ― 2014/10/05 08:59

>大分県南部人間さま

ご案内の国立保健医療科学院のホームページ、かなり悪質です。ホット・パーティクルと花粉を同様に扱うなど、反論にも値しません。
税金を使って、とんでもない宣伝をしているのかと思うと、はらわたが煮えくりかえります。

チェルノブイリの件は、調べてみます。

_ 大分県南部人間 ― 2014/10/05 17:14

私設原子力情報室様ありがとうございます。

よろしくお願いします。

国立保健医療科学院の中でプルトニウムのビーグル犬実験結果をICRPはよく出してきますが、高木先生の「プルトニウムの恐怖」では「0.1マイクロキュリー以下ほどの酸化プルトニウムを吸いこんだビーグル犬が、最大約14年後に肺ガンを発生させることが観測されている。(115頁)」とあります。
結局 長期間観察した結果は調査しないで、安全だと言ってるのでしょうね。
学院の示している市量も英文情報だから、素人はほとんど読まないです。
http://www.atsdr.cdc.gov/toxprofiles/tp143-c3.pdf
というか、プロの保険福祉職員もですが。

_ 大分県南部人間 ― 2014/10/06 09:39

この小木曽論文は読まれたかもしれませんが、けっこう使えます。
http://www.jrias.or.jp/books/201307_TRACER_OGHISO.pdf

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