元旦のスクープ ― 2012/01/03 23:20
2012年元旦。朝毎両紙の原発問題を巡るスクープが印象的でした。
まず、朝日新聞。
『原子力業界が安全委24人に寄付 計8500万円』朝日新聞
原子力安全委員会の委員(班目委員長を含む)24人が、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受けていたというものです。
日本の原子力基本法に定められている大原則は、『民主・自主・公開』。この話は、当ブログ『民主・自主・公開という大原則』に書いた通りです。「民主的に運営されるはずだった原子力委員会や原子力安全委員会には、原発に懐疑的だったり、反対の立場を取る科学者は、一人も入っていません」と指摘しました。
ところが、事実はそれどころではなかったのです。原子力安全委員会メンバーは、おそらく研究費の寄付という名目で、原発関連企業から賄賂とも呼んでよい金を受け取っていたのです。早晩、金を受け取っていたメンバーの名前と金額の明細などが出てくると思いますが、この問題を『民主・自主・公開』の立場から厳しく断罪するとともに、法律に照らして犯罪性がないのかも検証する必要があるでしょう。
原子力を推進する側に、「民意をくむ」などという発想はありません。企業の利権と、金の力でそこに絡め取られていく最悪の学者たち。醜いばかりの姿が明らかになっています。
毎日新聞にいきましょう。
『使用済み核燃料:直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示 現経産審議官、再処理策を維持』
これは、六ヶ所村で進められようとしている使用済み核燃料の再処理に関わるコストの話。実は、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す再処理をあきらめ、使用済み核燃料をそのまま処分する直接処分にすれば、コスト的には1/4から1/3で済むことが、2004年の段階で明らかになっていたというのです。その情報を握りつぶしたのは、当時の経済産業省・安井正也原子力政策課長で、この人物、現在は経産審議官だというのですから、開いた口が塞がりません。
こういった官僚たちの頭の中にも、「民意」なんて微塵もありません。保身と出世。当然と言えば、当然なのです。みずからが推進している核燃料サイクルプランを否定するようなデータが、身内から出てしまったらたいへんなのです。出世がなくなりますから。ですから、推進側と監視側が同じ組織内にあっては、絶対に駄目なのです。そして、『民主・自主・公開』の三原則を守るためにも、すべての人に対して、原子力関連の情報が、完全な透明性をもって公開されるべきなのです。
『解説:使用済み核燃料・直接処分コスト試算隠蔽 原子力ムラの異常論理』毎日新聞
毎日新聞は、スクープの後追い解説で、情報隠蔽の背景を「原子力ムラの異常論理」に結論づけていますが、これは日本の官僚社会一般にある傾向で、原子力では、特に顕著に出ているということです。
経産省内の隠語では、電力業界に絡め取られた官僚を「感電した」、ガス業界に絡め取られた官僚を「ガス中毒になった」と言うそうです。かつてのような、現金による露骨な買収は影を潜めているようですが、酒やゴルフの接待、そして、巧妙なのは、子どもの就職に絡む便宜提供など。嫌になりますが、そんな世界が本当にあるのです。
天秤の片方に乗っているのは、私たちの健康と安全。もう一方に乗っているのは、官僚たちの出世と保身。しかし、天秤を操作するのは官僚たちです。いざとなったら、私たちの健康も安全も、どんどん軽く扱われます。
半原発運動は、その構造にもくさびを打ち込んでいかないと、いけないのかも知れません。より所は、『民主・自主・公開』でしょう。
まず、朝日新聞。
『原子力業界が安全委24人に寄付 計8500万円』朝日新聞
原子力安全委員会の委員(班目委員長を含む)24人が、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受けていたというものです。
日本の原子力基本法に定められている大原則は、『民主・自主・公開』。この話は、当ブログ『民主・自主・公開という大原則』に書いた通りです。「民主的に運営されるはずだった原子力委員会や原子力安全委員会には、原発に懐疑的だったり、反対の立場を取る科学者は、一人も入っていません」と指摘しました。
ところが、事実はそれどころではなかったのです。原子力安全委員会メンバーは、おそらく研究費の寄付という名目で、原発関連企業から賄賂とも呼んでよい金を受け取っていたのです。早晩、金を受け取っていたメンバーの名前と金額の明細などが出てくると思いますが、この問題を『民主・自主・公開』の立場から厳しく断罪するとともに、法律に照らして犯罪性がないのかも検証する必要があるでしょう。
原子力を推進する側に、「民意をくむ」などという発想はありません。企業の利権と、金の力でそこに絡め取られていく最悪の学者たち。醜いばかりの姿が明らかになっています。
毎日新聞にいきましょう。
『使用済み核燃料:直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示 現経産審議官、再処理策を維持』
これは、六ヶ所村で進められようとしている使用済み核燃料の再処理に関わるコストの話。実は、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す再処理をあきらめ、使用済み核燃料をそのまま処分する直接処分にすれば、コスト的には1/4から1/3で済むことが、2004年の段階で明らかになっていたというのです。その情報を握りつぶしたのは、当時の経済産業省・安井正也原子力政策課長で、この人物、現在は経産審議官だというのですから、開いた口が塞がりません。
こういった官僚たちの頭の中にも、「民意」なんて微塵もありません。保身と出世。当然と言えば、当然なのです。みずからが推進している核燃料サイクルプランを否定するようなデータが、身内から出てしまったらたいへんなのです。出世がなくなりますから。ですから、推進側と監視側が同じ組織内にあっては、絶対に駄目なのです。そして、『民主・自主・公開』の三原則を守るためにも、すべての人に対して、原子力関連の情報が、完全な透明性をもって公開されるべきなのです。
『解説:使用済み核燃料・直接処分コスト試算隠蔽 原子力ムラの異常論理』毎日新聞
毎日新聞は、スクープの後追い解説で、情報隠蔽の背景を「原子力ムラの異常論理」に結論づけていますが、これは日本の官僚社会一般にある傾向で、原子力では、特に顕著に出ているということです。
経産省内の隠語では、電力業界に絡め取られた官僚を「感電した」、ガス業界に絡め取られた官僚を「ガス中毒になった」と言うそうです。かつてのような、現金による露骨な買収は影を潜めているようですが、酒やゴルフの接待、そして、巧妙なのは、子どもの就職に絡む便宜提供など。嫌になりますが、そんな世界が本当にあるのです。
天秤の片方に乗っているのは、私たちの健康と安全。もう一方に乗っているのは、官僚たちの出世と保身。しかし、天秤を操作するのは官僚たちです。いざとなったら、私たちの健康も安全も、どんどん軽く扱われます。
半原発運動は、その構造にもくさびを打ち込んでいかないと、いけないのかも知れません。より所は、『民主・自主・公開』でしょう。
コメント
_ 大庭孝広 ― 2012/01/04 02:39
_ 多摩小町 ― 2012/01/04 14:38
東電社員の中には政治家や官僚、知事などの子女が数多くいます。就職や婚姻によって彼等の「絆」は深まるばかり。
所詮 日本は大きな村だったということです。
でも これは今に始まったことではなく 日本という国が その成り立ちからして「村」なんです。
私の先祖は江戸時代は直参、明治以降は士官学校出の職業軍人で 親戚にも軍人が多くいました。
不思議でならなかったのは百人にも及ぶ親戚の中で 誰1人として第二次世界大戦で命を落とした人がいないことです。
職業軍人が10人近くいるのに その家族も含めて 戦死した人も空襲で死んだ人も1人もいないのです。戦時中でも食べ物に不自由したことはなかった とも聞きました。
今まで考えたこともなかったけれど これって やはり「軍人村」の恩恵だったんでしょうね。
そしてその報いを 今 子孫である私が受けることになるのでしょうか?
原子力村、経団連村を解体したとしても 日本人が根本的に変わらないと また同じような問題が繰り返されるだけでしょうが じゃ どうすればいいのか? 難しいですね。
ホント私たちは どうすればいいのでしょう?
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私は、福島第一原発事故の2年前から、同類の問題について動いておりました。
問題というのは、トヨタ・ニッサン・スズキの数々の凶悪リコール隠しに関して、監督官庁の国土交通省には、
「百も承知ですよ!」と言い切られたのです。
2010年にリコール隠しが問題となったトヨタは、その後全く反省も無く、いまだに数多くのリコール対象問題を隠し続けています。
多くの問題には、デンソーというやはり大企業が絡んでいます。
福島第一原発の事故で、東京電力に捜査が入らないのは何故か?という疑問を提起するフリージャーナリストの上杉隆さんですが、その疑問については答えがはっきりしています。
東京電力は、経済産業省の役人だけではなく、警視庁の人間を十数人天下りと称して飼っており、トヨタも同じく、松尾元検事総長という犬を飼っています。
当然、トヨタ・ニッサン・スズキの数々のリコール隠しが表沙汰になれば、業界シェアトップのトヨタと言えども、簡単に潰れてしまいますが、その時の影響など「知ったこっちゃない」という事なのでしょう。
日本はずいぶん前に終わっていたのだという事を 昨年の原発事故前に考えていましたが、日本はこのままでいいのでしょうか?
以上。