プルトニウムは大丈夫か?(3)2011/03/25 11:01

さて、福島第1原発です。
これまでの話で、3号炉の燃料棒にもともとプルトニウム239が含まれている他、他の原子炉でも、使用中や使用済みの燃料棒にプルトニウム239が含まれているのはお分かりいただけたでしょう。
福島第1原発では、一部の原子炉本体や使用済み核燃料貯蔵プールに水を浴びせ続けています。そうしないと、核燃料(燃料棒)が溶融するという重大な事態になるからです。現状ではやむを得ないのですが、一部破損している見られる燃料棒からプルトニウム239が流れ出している心配はないのでしょうか。放水車から浴びせた水は、一部は土に染み込み、多くは海に流れ出します。東電から原発附近の海水に含まれるヨウ素131とセシウム137のデータは発表されましたが、プルトニウム239に関しては、まったく言及されていません(プルトニウム239に加えてウラン235も流出している可能性有り)。

*ちなみに何度か起きた水素爆発によってプルトニウム239が大気中の広い範囲に撒き散らされた可能性は低いでしょう。それは、プルトニウム239が非常に重い金属だからです。比重で見ると、金よりも少し重いです。

チェルノブイリ事故の報告でも土壌中に残ったプルトニウム239の分析が行われています。ただ、このデータは原発から10㎞以遠のものなので、原発のすぐ近くでは、どの程度の汚染があったのかは分かりません。

今回、もし、プルトニウム239の海への大量流入が進んでいるとしたら、人類史上初めての事態です(チェルノブイリは近くに海がありませんでした)。すべてのプルトニウム239が、燃料棒の中に留まってくれているなら、それはそれで不幸中の幸いです。一方で、私のように危惧をしている人間もいます。東電と政府は、一刻も早く、福島第1原発のプルトニウムに関する情報を全面的に公開すべきです。


コメント

_ うっちゃん ― 2011/03/26 07:56

40近い主婦です。今回の地震がもとでの原発事故を機に突然原子力、原子力発電に興味を抱き始め、”原子力の話”を読ませていただきました。非常に分かりやすく説明していただきありがとうございます。

原発事故が起きた際(実際もう起こっていますが)の恐ろしさがよく分かりました。今回の件で、原発の将来性だけでなく、日本企業、政治のあり方まで深く深く考えるようになりました。今後もこのブログを拝見していくことで更に勉強させていただきたく思います。

私は現在欧州に住んでいますが、言うまでもなく、今回のこの地震に始まる原発事故で、欧州(特に英、独、仏)は原発安全性の見直しが注目されています。事故だけでなく、テロの危険性からも反対の声が大きくなってくると思います。本当に怖いです。

_ 私設原子力情報室 ― 2011/03/26 09:25

>うっちゃん
ヨーロッパからのコメントありがとうございます。今回の事故を受けて、ヨーロッパで原発の見直しが始まっていることは、日本のテレビも伝えています(原発大国フランスのサルコジ大統領が「原発建設凍結なんて、とんでもない!」と激怒した話を含めて)。
日本から、そして世界から、原発がなくなる日が来るのを願わずにいられません。

_ dora ― 2011/06/01 14:51

2か月以上たって今更ですが、
水蒸気爆発ではなく、水素爆発では?

_ (未記入) ― 2011/06/01 21:32

>doraさん
失礼しました!福島で起きたのは水素爆発です(今のところですが)。キーボードが滑りました。修正済みです。

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