誤発表と情報の公開 ― 2011/03/28 15:33
昨3月27日は、東電の「2号炉から通常の冷却水の1000万倍のヨウ素134を検出」という衝撃的な発表に日本中が引っかき回されました(当ブログも再三の書き換えをしました)。その後、夕方になって「ヨウ素134ではなくて、コバルト56でした」。さらに、夜中に「実は、コバルト56でもなく、セシウム134でした」と。
ヨウ素134が大量に出ているということは、即、核分裂連鎖反応(臨界反応)が起きている疑いになります。それは、ヨウ素134の半減期が52.5分と短いからです。事故発生からすでに16日。東電や政府の発表通り、最初の段階で核分裂連鎖反応が止まっていれば、ヨウ素134の存在は限りなくゼロに近くなっているはずです。…ということは、原子炉のどこかで、再臨界が起きていると。これは、原子力の専門家でなくても、少し原子物理や原子力発電の知識があれば、誰にでも分かることです。そして、もし、再臨界が起きていれば、かなりの中性子線が出ているはずだとも…
原子力の専門家であるはずの東電の担当者から、疑いもなくこのデータが出てきたことが信じられません。すぐさま中性子線量を測り、そこに問題がなければ、「通常の冷却水の1000万倍のヨウ素134」が正しいのかを疑うのが当然でしょう。
私が苦言を呈したいのは、東電と政府だけではありません。新聞やテレビの記者たちは何をしていたのでしょうか?もともと原子力の専門家と言える記者は少ないかも知れませんが、この間、多くの知識を身に付けていたはずです。
なぜ咄嗟に「その数字は、再臨界が起きていることを示しているのでは?」「中性子線のデータはどうなっていますか?」程度の質問が出なかったのでしょうか。情けなくなります。
もう一つ、苦言を呈したい相手がいます。東電に再分析を命じたという原子力安全委員会の学者たちです。言わずもがな、日本の原子力研究の重鎮たち。今回の事故に対して、ご意見番のような顔をしていますが、この学者たちは当事者です。この人たちの太鼓判によって、日本の原子力発電は推進されてきたのですから。
もちろん、再分析を命じたことに文句を言おうというのではありません。この非常事態のもとで、なぜ、原子力安全委員会のメンバーが、対策本部なりに一人もいないのか?それが問題なのです。自分たちは、今回の事故を人ごとのように語れる立場にはないと、しっかり自覚してほしいものです。
一つ危惧しているのは、昨日の件を口実に、東電からの発表が、より遅く、より少なくなっていくのではないかということです。上記を読んで頂ければ、「迅速な情報の公開」が誤発表の原因ではないことは明らかでしょう。不勉強、不注意、想像力不足、責任感不足。そういった基本的なことが原因となって起きたのだと認識する必要があります。
蛇足になるかも知れませんが、これまでの東電や政府の発表が十分なわけではありません。何度か繰り返していますが、ストロンチウム90とプルトニウムに関するデータを速やかに、そして全面的に公開すべきだと思います。
ヨウ素134が大量に出ているということは、即、核分裂連鎖反応(臨界反応)が起きている疑いになります。それは、ヨウ素134の半減期が52.5分と短いからです。事故発生からすでに16日。東電や政府の発表通り、最初の段階で核分裂連鎖反応が止まっていれば、ヨウ素134の存在は限りなくゼロに近くなっているはずです。…ということは、原子炉のどこかで、再臨界が起きていると。これは、原子力の専門家でなくても、少し原子物理や原子力発電の知識があれば、誰にでも分かることです。そして、もし、再臨界が起きていれば、かなりの中性子線が出ているはずだとも…
原子力の専門家であるはずの東電の担当者から、疑いもなくこのデータが出てきたことが信じられません。すぐさま中性子線量を測り、そこに問題がなければ、「通常の冷却水の1000万倍のヨウ素134」が正しいのかを疑うのが当然でしょう。
私が苦言を呈したいのは、東電と政府だけではありません。新聞やテレビの記者たちは何をしていたのでしょうか?もともと原子力の専門家と言える記者は少ないかも知れませんが、この間、多くの知識を身に付けていたはずです。
なぜ咄嗟に「その数字は、再臨界が起きていることを示しているのでは?」「中性子線のデータはどうなっていますか?」程度の質問が出なかったのでしょうか。情けなくなります。
もう一つ、苦言を呈したい相手がいます。東電に再分析を命じたという原子力安全委員会の学者たちです。言わずもがな、日本の原子力研究の重鎮たち。今回の事故に対して、ご意見番のような顔をしていますが、この学者たちは当事者です。この人たちの太鼓判によって、日本の原子力発電は推進されてきたのですから。
もちろん、再分析を命じたことに文句を言おうというのではありません。この非常事態のもとで、なぜ、原子力安全委員会のメンバーが、対策本部なりに一人もいないのか?それが問題なのです。自分たちは、今回の事故を人ごとのように語れる立場にはないと、しっかり自覚してほしいものです。
一つ危惧しているのは、昨日の件を口実に、東電からの発表が、より遅く、より少なくなっていくのではないかということです。上記を読んで頂ければ、「迅速な情報の公開」が誤発表の原因ではないことは明らかでしょう。不勉強、不注意、想像力不足、責任感不足。そういった基本的なことが原因となって起きたのだと認識する必要があります。
蛇足になるかも知れませんが、これまでの東電や政府の発表が十分なわけではありません。何度か繰り返していますが、ストロンチウム90とプルトニウムに関するデータを速やかに、そして全面的に公開すべきだと思います。
コメント
_ tetsu ― 2011/03/30 23:28
私は最初、よくわからなかったので、単位も含めて放射能物質を調べました。だいぶ解ってきましたが、知れば知るほど原発事故は怖いですね。いろいろなブログ記事をみていますが、「・・・元素の核分裂物質の質量数によって再臨界が起きていることを示しているのでは?」「中性子線のデータはどうなっていますか?」程度の質問が出なかったのでしょうか。・・・」という専門家的な発想に感銘しました。比較的素人をごまかしやすい聞こえのよいヨウ素、セシウムと発表していたのでしょうか?
_ 私設原子力情報室 ― 2011/03/31 06:02
>tetsuさん
コメントありがとうございます。「比較的素人をごまかしやすい聞こえのよいヨウ素、セシウムと発表していたのでしょうか?」とまで深読みしたくはありません。誤魔化しきれないことは明らかですから。
東電・保安院・マスメディアの不勉強と想像力の無さに尽きるのだろうと思います。
コメントありがとうございます。「比較的素人をごまかしやすい聞こえのよいヨウ素、セシウムと発表していたのでしょうか?」とまで深読みしたくはありません。誤魔化しきれないことは明らかですから。
東電・保安院・マスメディアの不勉強と想像力の無さに尽きるのだろうと思います。
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