原発ウオッチャーたち2011/03/30 07:57

昨日、仕事の関係で数名の女性と初めて知り合いました。休憩時間中の雑談は話題は、なんと「福島第1原発の事故」。彼女たちは、ユーストリームで配信されている原子力安全・保安院の会見東電の会見をほとんど見ているとのこと。リアルタイムでは見きれないので、一部はスマートフォンにダウンロードしているそうです。
いきなり、「炉心溶融なんて、最初から起きてるに決まってるじゃない!」「今頃、何言ってるのよ」「トレンチから汚染水が海に流れ出したら大変よ」と(トレンチという専門用語を普通に使っていたのも本当です)。いやはやテンションが高い。
原子力安全・保安院のスポークスマン=西山英彦審議官をヒデちゃんと呼び、「保安院のヒデちゃんは、東大法学部、通産省、ハーバードロースクールなのよ」と、私がまったく知らなかった情報を披露してくれました。凄い!

彼女たちの薦めにより、ユーストリームで東電の会見をじっくりと見ることにしました。当然、テレビニュースで伝えられている発表がごくごく一部だと実感。画面横に表示されるチャットの文面には、重大事故を茶化しているようなものも見受けられますが、「なるほど」と思わせる鋭い指摘が飛び込んでくることも。

リアルタイムのストリーミング中継には、「メディアによる解釈」が入り込む余地がありません。また、ネット系情報によく見られる「デマ」の入り込む余地もありません。受け取った視聴者たちは、一から百まで、自分の頭で考え、自分なりの結論に達する。これは新しい報道情報の発し方であり、受け取り方です。一方で、それを見る人たちは、政府や東電に遠慮した当たり障りのない報道しかしない既存のマスメディアに対して、はっきりと「ノー」を突きつけているのです。

だからと言って、私自身は、既存のマスメディアが駄目だと断じるつもりはありません。広い範囲からたくさんの情報を集め、それを整理し、解釈して世の中に知らしめることは、多くの人員と機材とネットワークを持つ彼らにしかできないこと。また、それが、マスメディアの責任であり、義務です。

「報道機関の独立性・独自性を捨て去ったような<事なかれ主義>の報道では、社会的な出来事に本当に興味を持つ人たちをつなぎ止めることができなくなりますよ」
そんな危惧を感じているのは、私だけはないと思います。



コメント

_ Tossini Ota ― 2011/03/30 09:04

29日放送のCX「生放送SP」の池上彰にがっかり! 氏は高校の先輩でもあり、わかりやすい解説には好感を持っていたのだが…。今回の原発に関して、波長の長い「放射線」だけが降り注ぐ宇宙線など自然界の被爆と、空中を浮遊し、土壌や水源さらに体内にも入り込み、残留してα、β、γなど波長の短い放射線を出し続ける「放射性物質」を横並びにして、そのSv/h値だけを比較して「安全」を連呼。今まで各局が御用学者を集めて繰り返してきた、嘘を追認しただけだった。おそらく、この問題に関してTV局があてがったブレーンのレクチャーを、鵜呑みにしたのだろう。大広告主である東電擁護を狙った局に、まんまとはめられた池上彰は、、自らの視座を持たず、ブレーン任せのにわか学習成果を披露するだけ、という姿勢を吐露してしまった。4月からTV出演を控え、「本来」の文筆業に戻るそうだが、彼はすでに言論人としての生命を失ってしまった。残念!

_ 私設原子力情報室 ― 2011/03/30 09:36

>Tossini Otaさん
コメントありがとうございます。今回の事故に関する池上彰コメントは、残念ながら見ていませんが、この期に及んで宇宙線などと比較しているようだったら、かなりひどいです。
宇宙線はあくまで体外被曝の話。確かに、体外被曝は福島第1原発で直接作業をしている人たちにとっては深刻で、放射線量が極めて高いからこそ、作業が進んでいないのです。
一方で、ある程度原発から離れた場所で問題なのは、核分裂生成物を体内に取り込んでしまう内部被曝。もう多くの人が理解してるのに…
池上さん、しょうがないですね。

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