子どもたちの内部被ばくを考える2012/01/03 22:18

埼玉県三郷市の『放射能から子ども達を守ろう-みさと』が、子供たちの尿から検出されたセシウム137とセシウム134の値を公開しています。検査を受けた18名中5名から放射性セシウム検出です。

『放射能から子ども達を守ろう-みさと』の尿検査結果

首都圏にも、確実に内部被ばくの恐怖が迫っている証です。ただ、無闇に恐怖感を煽るだけでは、本当の怖さを理解することはできないし、内部被ばくから身を守る方法も見つからないでしょう。
今回は、三郷市の5例の数値を解釈するところから、内部被ばくの問題を考えます。

まず、公開されたのは尿中濃度です。他のデータと比較するためには、これを体内残留濃度(体内濃度)に換算する必要があります。
計算式は、以下の通りです。上は体内総残留量で、下が今回用いる体内残留濃度になります。

体内総残留量を知るためには体重の情報が必要ですが、体内残留濃度は体重が分からなくても計算できます。
ただ、核種ごとの「体内有効半減期」が必要になります。これは、核種によって、どのくらいの時間で体内から半分量が出ていくかを示す値で、主な核種では以下のようになっています。

大人では、セシウム137の体内有効半減期は100日とされています(ICRP)。セシウム134については、体内有効半減期が明らかになっていませんが、化学的な性質が同じなので、人体内での振る舞いもセシウム137と同様と考えられますので、同じ値で計算していきます(体内実効半減期が比較的短いので物理的半減期の違いは、ほとんど影響しないでしょう)。
子どもは代謝が速いため、体内有効半減期が短いとされていますが、セシウム137について、「何歳で○日」というデータがあるわけでなく、研究機関によって30日~50日とバラツキのある状態です。今回は、44日説を採用して計算します。
三郷市の5例について放射性セシウムの合計と体内残留濃度を計算してました。
*尿検査の結果から体内残留濃度と体内総残留量を計算する尿検査評価計算機【ダウンロード

今回の結果は、体内残留濃度=0.29~1.60Bq/kgで、たとえば、南相馬市でホールボディカウンターを使って検出された「10Bq/kg未満=199人・10~20Bq/kg=65人・20~30Bq/kg=3人・30~35Bq/kg=1人」(2011年10月28日発表)などと比べると、確かに低い数値ではありますが、「安全である」と言い切れる根拠は、どこにもありません。

●体内残留濃度は継続的に測ってこそ意味がある。
内部被ばくに関しては、ある量を一度に摂取した場合と、継続して摂取し続けるのでは、後者の方が危険だということは、当ブログ『低線量内部被ばく/「毎日少しずつ」の恐怖』で明らかにした通りです。
一方、1回の尿検査の結果では、「一回摂取」なのか「継続摂取」なのかは、判断のしようがありません。
三郷については、首都圏の中では空間線量の高いホットスポットと言われている地域なので、継続摂取の可能性が高いのですが、たとえば、事故直後の3月下旬に大量の一回摂取があって、それが減ってきて、今の値である可能性も否定できません。一回摂取と継続摂取が、相乗的に影響している可能性もあります。
是非とも、継続的に検査を続けて、濃度が上がっていくのか、変わらないのか、下がっていくのかを注意深く見守る必要があります。1ヶ月に一回の検査を続ければ、いろいろなことが明らかになってくると思います。
検査費用は、東電と国が補償すべきです。当然にも。

●日常生活における放射能対策は、ある程度、有効である。
『放射能から子ども達を守ろう-みさと』の資料でも触れられていますが、日常生活における放射能対策は、ある程度、有効なようです。食べ物や飲み物、衣服などに気を配って、少しでも体内への放射性物質の取り込みを減らそうと努力した家庭では、検出例が少なくなっています。
今のところ、体内への取り込みが、呼吸によるものが主なのか、飲食によるものなが主なのかは、明らかになっていません。しかし、放射性物質を正しく恐れる暮らし方が求められるようです。これは、本当は悲しいことなのですが、今となっては、やむを得ません。
再度、東電と国への怒りがこみ上げてきます。

コメント

_ 多摩小町 ― 2012/01/04 14:43


給食からの内部被曝について 親たちは もっと真剣に取り組むべきですよね。
前に給食摂取者は非摂取者の3倍汚染されている という話がありましたが その後 どうなったのでしょう?

じきに3学期が始まります。親御さんたちには もっとしっかりして頂きたいですね。

_ 私設原子力情報室 ― 2012/01/04 16:22

「給食摂取者は非摂取者の3倍汚染」は、yamaoyaさんのコメントですね。
http://www.asablo.jp/app?cmd=preview&target_fqdn=nucleus.asablo.jp&target_path=/blog/2011/11/23/6212273%23c6213160
岩手県のある地域のデータで、サンプル数は18です。参考にすべき貴重なデータではありますが、残念ながら、一般化するにはサンプル数が少なすぎます。

一方で、給食に含まれる放射性物質の問題は、各地から報告されています。
たとえば、埼玉県では、半数の自治体が検査を実施しているようですが、検査対象は「調理後の一食分」と「調理前の食材」に分かれています(両方実施も有り)。
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20111230ddlk11040126000c.html
「調理後の一食分」(陰膳法)だけでは、汚染食材を絞り込めないので、全食材の産地情報の公開と、調理前の食材の全量検査(ガンマ線とベータ線のスクリーニング検査)が必要だと思います。そして、いずれの検査においても基準値をギリギリまで下げることです。
「基準値=検出限界」というのが、原則的な立場です。
これは、本来は給食だけでなく、すべての食品に対して言えるのですが、まずは給食からと考えましょう。

_ yamaoya ― 2012/01/06 08:19

岩手県のその後の状況をお知らせします。
尿検査サンプルは、33人になりました。
不検出はわずか4名。
33人の平均は、1.16ベクレル(リットル当たり)で、
1ベクレルを超えている子が、17人いますし、
2ベクレル、3ベクレルを超える子も数人います。
給食摂取者と非摂取者の差は、約2.5倍。
最近「けいとうさぎ」というサイトで、
各地の尿検査結果を集計しているので見ることができます。それと比較しても、岩手県がかなり高いことがわかります。
県内各地で、給食の測定が始まり、3学期からは、
給食の基準値を大幅に下げる自治体も出てきて、
一定の成果は見られます。現段階で、最も低い基準値を設定したのは、平泉町の30ベクレルです。

各地域で尿検査を集計する取り組みは、大変意義があると思います。数値が高いとか低いとか評価する以前に、「絶対に外部に出さない」と政府・電力会社が約束してきた物質が実際にばらまかれ、罪のない子供たちの体内に取り込まれている事実を、目に見える形で地域住民が確認できるからです。

 33人のデータは、1件3万円かかる検査費用ですから99万円プラス送料がかかっています。当然、事故の責任者である東電に何らかの形で請求していきたいと考えています。

 今後、この国が原子力から撤退するのか継続するのかを見極める判断材料として、こうした賠償費用をきちんと計上しないことには、正しい判断はできないでしょうから。

_ 宮城県民 ― 2012/01/07 14:16

この尿中濃度から体内残留濃度(体内濃度)への換算式、情報源はどちらになるのでしょうか?
色んな説があり途方に暮れています。

_ 私設原子力情報室 ― 2012/01/07 23:19

「1日の尿量の計算」と「体内有効半減期」をどう定めるかによって、出てくる数値は違いますが、前提となる式としては皆さんが認めるものだと思います。

当方では、「1日の尿量の計算式」として「1ml(0.001リットル)×体重(kg)×24時間=一日の標準尿量」
http://blog.goo.ne.jp/sakko94/e/54a6f2f343e8395e4ee505a29618d9c9
を採用しています。「ブログだから信用できない」という声があるかも知れませんが、他の計算方法でも大差はありません。

一方、本文にも書きましたが、体内有効半減期が子どもではどうなるかは、誰も明らかにできていません。それどころか、ICRPが採用しているセシウム137の体内有効半減期(大人)=100日(または99日)だって、個人差もあるし、どこまで正しいのかも分かりません。

大切なことは、数値を冷静に見つめ、その数値に一喜一憂するよりも、「本来はゼロなのだ」という立場で、東電と国に立ち向かうこととだと思います。これ以下は安全という放射線量は存在しませんから。
そして、「誰にも分からない」こともまた、原子力の怖さの本質と理解しましょう。

_ 宮城県民 ― 2012/01/08 14:53

回答ありがとうございます。
半減期2年のセシウム134が我が子の尿から出た恐怖は忘れられません。
行政にも働きかけています。その時に、あちら側の方たちは根拠を重視します。
私達の武器の一つが、子ども達の尿検査結果です。
「微量だし問題ない」と言わせないだけの根拠が必要だったんです。
活動に感謝しております。ありがとうございました。

_ 埼玉県民 ― 2012/01/19 10:32

貴重なご意見をうかがうことができ、大変ありがたく思います。
私の子どもも尿検査でセシウムが検出され、気が狂いそうなほどの悲しみと怒りを抱えています。
個人的にご意見を伺いたく、メールしました。誰に聞いていいかわからず途方に暮れているので、どうかお願いします。
子どもは3月15日の一番空間線量が高い時間帯に外で体育の授業を受けていました。学校はあっても外には出さないだろうと学校を信じていましたが、念のためマスクだけはしていました。しかし授業は外。おまけにしていたマスクには穴が開いていたのです。マスクを吸ったりかんだりしていたようなのです。
最近になり、都内のその時間帯の空間にセシウムほかストロンチウムもあったことを知り、マスクを吸っていたということはマスクに付着した放射線が経口で入ってしまったとのではないかと思うのです。
経口摂取してしまったと想定して、この量は今の尿検査のデータから推し量ることはできますか?
先生のブログで一時に大量に摂取するより少しずつでも体内に継続的に蓄積されるほうが怖いとありましたが、もし私のこどものように、このときに受ける被ばくの影響はどうなのでしょうか?急性被ばくまでは至らないにしても、一時に大量の被ばくをしたことには違いないです。

_ 私設原子力情報室 ― 2012/01/20 00:49

>埼玉県民さん
ご心配ごもっともです。
ただ、ここは問題を整理して考えましょう。

まず、2011年3月15日に、関東地方で空間線量が高く、放射性降下物(Fallout)が多かったのは事実です。しかし、今回の事故では、福島第1の現場での作業中に被ばくした数人を除いて、急性障害を起こした人がいないのもまた事実です。とりあえず、急性障害は話から外しましょう。

では、3月15日に、ある量の、それも比較的大量の放射性物質(放射性セシウム)を体内に取り込んだ場合、体内残留量は、今、どうなっているかです。
「低線量内部被ばく/「毎日少しずつ」の恐怖」
http://nucleus.asablo.jp/blog/2011/10/17/6159844
のグラフを見て欲しいのですが、その日一日の摂取であれば、すでに体内残留量は、かなり減っているはずです(3月15日に摂取した分は心配しなくていいという意味ではありませんが)。
きょうで、3月15日から311日目。仮にお子さんが、3月15日に1000ベクレルという、ある程度大量のセシウム137を体内に取り込んだとして、今、体内に残っているのは、9歳ならば3ベクレルで、一日に尿に出る量は、間違いなく検出限界以下になっています。【年齢が低くなればなるほど、セシウムの排泄は速くなります】
計算用のExcelファイルは以下に置いてあります。
http://www.ne.jp/asahi/nonukes/home/files/cs137_calculator.zip

では、お子さんの尿に、なぜ放射性セシウムが出ているのか?おそらく、比較的最近の、それも継続した、飲食による摂取かと思われます。
知るべきなのは、放射性物質の摂取が、今現在も続いているのかどうかです。これは、尿検査をたとえば1ヶ月おきに続ければ、明確になります。摂取がなくなっている、あるいは、摂取量が減っていれば、尿中の放射性セシウム濃度は、一気に下がってくるはずだからです。

今のところ、関東では、尿検の費用を東電や国が負担するということにはなっていませんが、もし、状況が許すなら、月一程度の継続検査をお薦めします。

また、差し支えなければ、お子さんの尿中の放射性セシウム濃度を今後の結果を含めてお知らせください。そのデータを公開することで、当方を含めた複数の見解を得ることができると思います。

今、もっとも大切なことは、飲食に気を配って、無用に放射性物質を体内に取り込まないように配慮して上げることです。あれも危ない、これも危ないで、疑心暗鬼になるのは、こんどは精神的な負担になるのでよくありませんが、冷静に、産地でセレクトしてください。
呼吸による摂取に関しては、今の関東地方で、あまり神経質になる必要はないと思いますが、舞い上がる埃の中で遊ばせたりするのは危険です。今年の春一番は、明るいニュースにはなりません。

_ 埼玉県民 ― 2012/01/20 10:45

お返事ありがとうございます。
データを公開することにためらいを感じていますが、今後のことを考え公開いたします。
現在わかっていることは以下の通りです。

年齢:8歳
10月上旬:
セシウム134:0.18(検出下限0.16)
セシウム137:0.20(検出下限0.18)
12月下旬
セシウム134:0.11(検出下限0.11)
セシウム137:0.17(検出下限0.12)
※ヨウ素131はいづれも不検出

・3月15日以降、飲食には非常に気を使ってきました。
・GWごろまで学校・外出時はマスクをさせていました。
・給食は、牛乳を含め学校のものを食べていました。
・学校では、放射線に対して特別な対処はしていません。
・住居は通りの激しい道路に面しています。
・夏休みは、半分は埼玉にはいませんでした。埼玉にいた時は、日中は窓を開け扇風機で対応。
・11月下旬に関西に転居しています。

以上になります。
セシウムもそうですが、ストロンチウム・プルトニウムに対しても、非常に恐怖です。
今後も定期的に尿の検査はしてゆくつもりです。

日本に生きる子どもたちのために、未来が明るく、夢を持って生きてゆくことができることができるように、どうかどうか、お力をお貸しください。

先生からのアドバイスを大事にします。
ありがとうございます。

_ 私設原子力情報室 ― 2012/01/20 13:56

>埼玉県民さん
情報の公開、ありがとうございます。
消費者庁が発表しているセシウムの体内実効半減期(セシウム134・137の場合は、生物学的半減期=体内実効半減期)を用いて計算すると、12月下旬で体内残留濃度(放射性セシウムの合計)は0.37Bq/kg。さらに、お子さんの体重を30kgと仮定すると、体内総残留量は11Bqになります。

もともと体内に存在するカリウム40という放射性物質は、体内濃度が67Bq/kg。体重が30kgの場合、総量は2000Bqです。
やや大雑把な言い方になりますが、お子さんの場合、本来なら2000Bqのものが、今は2011Bqになっているということです(測定にも計算条件にも誤差がありますので、本当に正確な数字とはとらえないでください。あくまで「2011Bqくらい」です)。この上乗せ分の11Bqが、100%悪さをしないとは言い切れないのですが、とりあえず、「微量」と見てよいと思います。
また、10月上旬から2か月半で、数値が下がっていますので、あらたな摂取はゼロか、かなり少なくなっているでしょう。関西に転居した効果が出ているのかも知れません。

埼玉にいる段階で、結構、放射性物質の摂取に気を配っていたのに、放射性セシウムが体内に入ってしまった原因は、考えておく必要があるのですが、今から検証するのは難しいですね。だいたい、学問的にも、呼吸によってどの程度、放射性セシウムの摂取が起こるのかは、明確にはなっていないようですから。

次の検査では、検出限界以下か、せいぜいギリギリまでしか出ないと思いますが、よかったら、その結果もお知らせ下さい。

なお、尿検査の結果を評価するExcelの計算式は、http://www.ne.jp/asahi/nonukes/home/index.html に置いてあります。

追記:
どうか、「先生」はご勘弁を(笑)。少しだけ詳しい素人のレベルですから。

_ 埼玉県民 ― 2012/01/22 19:55

ご丁寧なコメント、本当にありがとうございます。
悶々としていたところに、お答えをいただけたので本当に心強く思っています。
次回検査しましたら、結果をお知らせしようと思います。

_ 東京東在住 ― 2012/01/26 13:18

こちらで紹介されているエクセルシートで子供の検査結果を計算してみました。

2011年8月に1回目、2012年1月に2回目の検査をし、数値が大変増えています。

1回目 セシウム合計0.56Bq/kg 体重15.7キロ
2回目 セシウム合計1.42Bq/kg 体重17.5キロ

体内実効半減期 38日です。

インターネットで、ユーリバンダジェフスキー氏の研究によれば、ミンスクの子どもには20Bq/kg以上のセシウム137が体内に残存し、85パーセントが心電図に病理変化を記録しており・・という情報があったのですが、うちの子供の場合、1月の結果で

体内総残留量(Bq)33
体内残留濃度(Bq/kg)1.89

となるのですが、上記のバンダジェフスキーさんの言う20Bqというのは、33で比較すべきなのでしょうか、1.89で比較するべきなのでしょうか・・?
勉強不足というか、理解できる範囲を超えてしまっているというか、良く分からなくて、相談させてください。

_ 私設原子力情報室 ― 2012/01/26 22:18

>東京東在住さん
とりあえず、バンダジェフスキーさんの20Bq/kgと比較すべき数字は1.89Bq/kgです。
ただ、「1回目 セシウム合計0.56Bq/kg 体重15.7キロ 2回目 セシウム合計1.42Bq/kg 体重17.5キロ」というのは、それが事実だとすれば、深刻な数字ではないとしても、体内への摂取量が増えていますので、検査を行った機関に対して、ちゃんとした説明を求めた方がよいと思います。
どこですか?

_ 東京東在住 ― 2012/01/26 23:41

ご回答ありがとうございました。1.89の方だと分かって本当にホッとしました。。。(目安ととらえています。)
でも、おっしゃる通り、これだけ増えていることに関しては、思い当たる節が保育園の給食くらいで、かといってこんなに急増するものかとずっと混乱していました。(保育園の牛乳は1回目の検査以降飲ませていません)

検査機関は山形の理研分析センターさんです。
主人にも数字が正しいのかと聞かれ、間違うはずはないと思いましたが念のため電話で確認したところ、電話に出られた方からは間違いはなさそうと言われましたが、前回から増えている旨を伝えると、もう一度検査をしていただけることになりました。もしかしたら間違いの可能性もあるかもしれません。そうであってほしい気持ちです。。
再度検査結果が出ましたらご報告します。

ちなみに、尿中のセシウムの値の算出方法で、よく「尿検出の200倍が体内に残っている値。それを体重で割ってキロあたりの値がでる」と、見ます。
この方法でいくと、約16Bq/kg になります。
1.89とは全く違う数字で、20Bqにかなり近いところまできてしまっています。
この算出方法はどのように思われますか・・?

_ 私設原子力情報室 ― 2012/01/27 23:22

>東京東在住さん
「尿検出の200倍が体内に残っている値」は、ちょっと当方が得ている情報とは違っています。
大体、「尿からの検出量」と「体内総残留量」の関係は、体内有効半減期と体重によって大きく変わります。それを無視して単純に200倍は、ちょっと荒っぽすぎる感じがします。

一方で、尿検査の値から放射性物質の体内残留量を推定するのには、かなりの誤差が伴います。個人差もあるし、その日の体調も影響するはずです。だからこそ、継続的に調べなくてはいけません。

当方が提供している計算方法は、一つの考え方として理解していたければ幸いです。もちろん、現状で、もっとも客観的で妥当な計算方法だと考えた上で公開しています。

_ 東京東在住 ― 2012/01/28 08:46

ありがとうございます。参考にさせていただきます。

_ 東京東在住 ― 2012/02/15 11:48

再検査の結果が分かったのでご連絡します。

ヨウ素 不検出 (検出下限 0.069)
セシウム134 0.077(検出下限 0.063)
セシウム137 0.087(検出下限 0.064)
合計  0.164

結果的に、前回(2回目の数値が高かったもの)の結果は、正しくありませんでした。

ほっとしました・・・・・・

ただ高い数値がでた原因は不明です。
計算や検査は正しいとのことで、どこかの過程で混入したとしか言えないとのことでした。
採取の段階でなのか、検査機関でなのか、この2週間に縮んだ寿命を返してほしいと思いましたが、1回目(合計0.56)よりも下がっていたことに心底ほっとしました。

ただ、専門家の方にお話を聞く機会があり、セシウム134とセシウム137の比率が、1回目は0.30、2回目(間違いの数値)は0.65で、系統性を欠いている。当初放出された放射性セシウム中のセシウム134/セシウム137=1だったとすれば、その後5ヶ月を経た2011年8月時点(第1回採尿時点事故から269日経過)では0.87程度、10ヶ月を経た2012年1月(第2回採尿時)には0.76程度になっているはず。とのことで、再検査の結果はそれに近い数字ですが、1回目はおかしいということになります。
正直本当にこの数字を信用してもいいのか、わからなくなってきました。

とはいえ、
ご提供いただいているエクセルシートで再検査の結果を再計算してみますと、
体内総残留量  3.81Bq
体内残留濃度  0.22Bq/Kg

となりました。

この数字なら大丈夫かも・・と少し気がゆるんでしまいそうですが、これよりも数字が上がらないように、引き続き飲食には気をつけていこうと思います。
ご意見お聞かせ下さい。

_ 仙台市民 ― 2012/03/20 00:59

有用な記事をありがとうございます。
「セシウム137の体内残留量(Bq)は尿濃度(Bq/L)の140~150倍」
という説を他所で目にしていましたが、こちらの記事を拝見して初めてその論拠が分かったように思います。
半減期100日だとして1日後の残留率は 0.5^(1/100) = 0.993 = 99.3%、排出したと分が 100 - 99.3 = 0.7% したがって体内総量は1日の排出量(Bq)の100/0.7 = 143 倍ということですね。
140~150 倍すべきなのは尿濃度(Bq/L)ではなく1日の排出量(Bq) ですから、この点で上記の説は間違っていますね。
さらに生物学的半減期は乳児の20日から成人の100日まで
年齢により、乳児だと上の倍率は 1/[1-0.5^(1/20)] = 29 で
約30倍なのですね。
1日の尿量は大人も子供も体重の 2.4% でよろしいのでしょうか。
うちの子(体重10キロの乳児)だと240ccとなりますがミルクはもっと飲んでいるようですが。実際の尿量が分かればより正確ですね。

_ 私設原子力情報室 ― 2012/03/20 10:22

>仙台市民さん
コメントありがとうございます。
ご存じの通り、日尿量は個人差、体調、運動量、気温、湿度などによって変化します。
「体重の2.4%」は、一つの目安としてご理解ください。体重60キロとして1.44リットル、70キロで1.68リットルになりますから、一般に1~1.5リットル/日という言われている値に近いので、成人に関しては大きくずれていることはないと思います。子どもに関しては、「この計算で良い」という説と「もう少し多い」という説があるようです。
●参考
http://blog.goo.ne.jp/sakko94/e/54a6f2f343e8395e4ee505a29618d9c9
http://www.agapen.com/urine/nyoryo/nyoryopage.htm

話は複雑になってしまうのですが、核種ごとの体内有効半減期を決定するためには、日尿量のデータが必要です。この数字をそのまま、「1日の尿量」に当てはめれば、納得のいく計算にはなるのですが、本稿で一応のより所にしているICRPの「セシウム137の体内有効半減期=100日」説にしても、その背景にある日尿量のデータは明らかにされていないようです(探し切れていないのかも知れませんが)。

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