魚と放射性物質2011/04/05 14:03

今ごろになって、「水産庁、検査強化 「魚の体内で濃縮せぬ」の見解再検討」だそうです。恐るべき不見識!
水産庁には、食物連鎖と生体濃縮に関する知識を持つ役人が一人もいなかった?そんなわけないでしょう。皆、運良く魚から高濃度の核分裂生成物(放射性物質)が検出されないことを願っていただけなのでしょう。自分が面倒な立場に追い込まれたくないだけの理由で。彼らは、漁民のことも、消費者のことも、まったく考えていないと断言したくなります。

さて事実関係ですが、茨城県沖で穫れたイカナゴ(コウナゴ)から高濃度のヨウ素131が検出されました。これは、私が思っていた以上に速いペースで、生体濃縮が進んでいるということです。半減期8日のヨウ素131でさえ、この調子です。セシウム137やストロンチウム90はどうなっているのでしょうか?

魚の体内に蓄積される放射性物質が、私たちに影響を及ぼすとしたら、間違いなく、それを食べたことによる内部被曝です。何度か書いているとおり、セシウム137は血流に乗って全身を巡り、肝臓や腸に癌などの障害を起こす可能性があります。ストロンチウム90は骨にたまり、造血細胞にベータ線を放射し、白血病を引き起こします。セシウム137とストロンチウム90は微量であっても恐ろしい放射性物質です。

ヨウ素131が検出されたイカナゴ(コウナゴ)は、常識的には、セシウム137やストロンチウム90も蓄積していたはずです。微量であっても、こういったデータは公開すべきです。もし、ゼロであったらあったで、不幸中の幸いとして、明確にすべきでしょう。情報の公開が、まだまだ滞っています。

コメント

_ 黄昏の国 ― 2011/04/06 08:49

今の政府の情報統制からすると恐らくストロンチウムやプルトニウムの食品汚染の実態は今後も公表されることはないような気がしてなりません しかも恐ろしいことですが放射能汚染が自然界のどこまで拡大しているかを正確に把握することは事実上不可能ではないでしょうか せめてもの贖罪として政府はあらゆる食品に対して製造年月日(食材入手日?加工日?)の明示だけでもして欲しいものです 汚染拡散予測マップも非公開、累積汚染濃度も非公開、ヨウ素、セシウム以外の放射性物質も非公開では国民はこの先何を頼りにして食べていけばいいのでしょうか?海も空も世界に繋がっており、ことは日本だけの問題ではありません 正確な情報をリアルタイムで公表しない政府の態度は海外の支援も閉ざし、いずれ見捨てられた亡国になりかねないと危惧しています

_ とおりがかり ― 2011/04/07 11:48

なるほどなるほど。だから、ベータ崩壊測定法
の数値は、「公表保留」なのですね。
ストロンチウム90は重いので、大気拡散よりは、
海洋汚濁と、海産物生体内濃縮が大問題ですね。

_ 私設原子力情報室 ― 2011/04/07 17:37

>黄昏の国さん
>とおりがかりさん
コメントありがとうございます。
海洋汚染、危惧したとおりの展開になっていますね。
しかし、多くの文献では、ヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90を原子炉における核分裂生成物の代表として扱っています。
なぜ、ストロンチウム90のデータだけが出てこないのか?この情報操作を止めさせなければいけません。いわゆる「基準値」以下であろうとなかろうと、すべての情報を公開すべきだと思います。

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