除染考(2):除染にゼネコンは必要なのか?2013/01/31 15:32

まずは下の表をご覧ください。
国や地方自治体から、除染事業のために巨額の資金が大手ゼネコンに流れ込んでいるのが分かります。

ゼネコン。正しくは General Contractor ですから、直訳すれば総合建設業といったところでしょう。

もちろん、元請けはゼネコンでも、実際に現場で働いている人たちは、地元や日本各地で集められた労働者。その多くは日雇い契約か短期間の契約です。そして、ゼネコンとの間には、何社もの下請け業者が入っていて、労働者に本来渡らなくてはいけない賃金が、途中で抜かれるという事態も起きています。
電話1本で仕事を右から左へ流しているだけの仲介業者も多く、暴力団のフロント企業が入り込んでいるとも言われています。なにしろ、元請けのゼネコンですら、複雑な下請け構造の全体を掌握できていない状態なのです。
J-CASTニュース:手抜き除染の「実態」 元請けゼネコンも把握できない?

素直に考えれば、福島地元の建設会社や土建会社に、国や自治体が直接発注すれば、下請け構造による問題はかなり解決されるような気がします。

では、なぜこの総合建設業、ゼネコンが除染に必要なのか?
国や自治体の説明は、
1. ゼネコンは最新の除染技術を持っている。
2. 巨大な除染事業を多くの事業者に振り分ける能力が自治体にはない。
といったところです。

まず、1.です。最新技術で飛躍的に除染が進んだ、なんていう話はどこからも聞いたことがありません。それどころか、放射性物質を含む水をそのまま河川に垂れ流したり、汚染された枯れ枝を放置したりと、とても信じられないような事態が起きているのです。
「手抜き除染」と言いますが、これは立派な違法行為。放射性物質を環境中に廃棄したり、許可なく移動させることは法で禁じられているのです。
もし、最新技術を売りにして、ゼネコンが入札に勝ったのなら、その証を見せてもらいたいものです。それ以前に、入札の内容を全面的に公開すべきでしょう。企画内容から見積に至るまで、万人の監視が必要です。

国とゼネコン、地方自治体とゼネコンという利権構造にくさびを打ち込まなければ、除染は、原発で儲けた連中が、また儲けるだけのものになってしまいます。おまけに、実際の効果はほとんどないと。こんなことは許されません!

環境省のホームページに、田村市の除染作業をリポートした写真がありました。

この作業のどこにゼネコンが必要で、最新技術はどこに生かされているのか?誰でも疑問に思うでしょう。

コメント

_ 金宮 with Lemon & Soda ― 2013/02/12 13:54

「国連特別報告」に直接関わる話題ではありませんが、これが直近の記事なのでここに投稿致します。

被災者にもの申しただけで、
非難されるこの国の国民性を承知で、
あえて申し上げます。

そもそも自民党の原発政策のせいで
故郷を奪われ、不自由な生活を強いられ、
将来への不安を抱くことになっているのに
小泉進次郎が慰問に来たくらいで、
やすやすとグルーピーになってしまう
仮設のおっかぁ達に???を投げかけます。
小泉ジュニアはーー、
自民党が進めてきた原発政策への反省どころか総括も、
今後の原発をどうするのかの態度も打ち出さないまま
「皆さんの失ったものの大きさを知り、
我々の使命の重さを知った」ーーーだって?
「この視察の成果を基盤に、安倍総理への質問を行います」ーーだって?
こんなミエミエのプロパガンダ出来レースに、
まんまと乗っかって良いのでしょうか??
おっかぁ達、もっと怒って良いんですよ!!

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